2003/07/10(木)千葉県 坂川

[2008/07/26]
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ソウギョ発見!
 
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未植栽区間では相変わらずギシギシなど
の荒地植物が繁茂していました.
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ヨシ植栽区間では荒地植物の侵入は
少ないようです.
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定点写真です
 
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スケッチをしているご婦人が居ました
 
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植生ロールに既存マコモを
植栽した場所です


 久々に坂川に行って参りました(5/27).整備直後に爆発的に増えたオオカナダモですが,そういえば最近かなり少なくなりました.その代わりにセキショウモが徐々に増えてきます.新しい土地が形成されると一気に増殖する外来種の増殖パターンなのかなぁとも思いました.川を除くと巨大なソウギョがのんびりと泳いでいるのが目にとまりました.あまり人見知りしない様なので,しばらく観察しているとオオカナダモをむしゃむしゃと食べてるところを見ることができました.ソウギョにも好き嫌いがあるのかもしれませんが,セキショウモよりもオオカナダモを好んで食べているようです.オオカナダモが減少した理由の一つにソウギョの存在があるのかもしれません.何かが変われば何かもかわるなど,生態系は非常に複雑なもので,どれか原因を特定することは極めて困難ですね.

[木村保夫]



[2007/11/22]
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坂川の小道.丁寧に草刈が行われ,
楽しい散策路ができています.
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直線川道としても,自然に水際に微妙な
変化が形成されていますね.
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川幅いっぱいに繁茂したセキショウモ
 


 去年のことを書くということは果たしてモニタリングといえるのかどうか....2007年度はかなり仕事が多く,四苦八苦しておりましたのでご容赦ください.東京オフィスの事務所も東京都江東区から千葉県船橋市に移転し,ますます,千葉県とのかかわりが大きくなりそうです(千葉にあっても東京オフィスですが,千葉にあるのに東京○○○は沢山あります...).
さて,以前の写真を見返してみると,何かとても懐かしい感覚にとらわれました.あぁ,坂川はこんな風に自然になってきたんだなぁ...趣旨が次第にモニタリングからタイムマシンになってきましたがご容赦ください.そうえいば,セキショウモがかなりふえましたね.施工直後はちょぼちょぼしかなかったのに,数年間で川幅いっぱいに広がっているところもあります.やはり水がきれいになったことで光合成が十分におこなえることと,底質に栄養塩が豊富であることが要因なのかもしれませんね.

[木村保夫]



[2006/04/17]
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① 既存のマコモ生育状況.
2005年11月10日.
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② 既存のマコモ確保作業.
2005年11月10日.
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③ 既存のマコモ生育状況.
2005年11月10日.
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④ 既存のマコモ解体作業.
2005年11月10日.
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⑤ 既存のマコモ養生状況.
2005年11月10日.
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⑥ 植生ロール(穴開済).
2006年12月14日.
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⑥ 植生ロール(穴開済).
2006年12月14日.
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⑧ 既存マコモを植栽した植生ロールの
設置状況.2005年12月14日.
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⑨ マコモの出芽状況.
2006年3月28日.


みなさんご無沙汰しております.年度末は忙しく,どうしてもホームページの更新が滞ってしまいます.しかし,その間,現場で様々なネタを仕入れてきております.現場では毎度のことながら様々な技術的課題が出てきますが,施工現場の方々はそれぞれの工夫でそれらを鮮やかに解決していきます.すばらしいですね.
さて,今回は,施工区間に生育していた既存のマコモを確保し,それをベストマンロール(植生ロール)に植栽しよういうものです.施工は2005年11月~12月にかけて行われました.マコモは護岸の隙間に根を伸ばしており,思いの外確保するのが大変でした(①~③).確保したマコモはノコギリで4つに分解して(④),使用するまで流れの緩やかな場所にヒモでしばっておきました(⑤).あらかじめ植栽穴を開けておいたベストマンロール(植生ロール)に養生しておいたマコモの地下茎を植栽し,現地に設置しました(⑥~⑧).施工からおよそ4ヶ月後に現場を訪れてみると,マコモが芽を出していることが確認できました(⑨).こう書くと,簡単な作業であった用に思えますが,結構大変な作業でした.うまく育ってくれることを期待しています.

[木村保夫]



[2005/10/18]
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草刈り後の状況
 
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タコノアシが生育する部分は
刈り残してあった.
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レンガ橋
 


 ちょっと立ち寄りました.ちょうど草刈りが終わった後で丸刈りとなった状況でした.散策路を歩きましたが,草が生えているときには気がつかなかったものが数多く見られました.水際の浸食された微妙なラインであるとかザリガニの穴など.そうそう,そう言えば散策路に使用したコンクリート再生骨材は当初は白く目立っていましたが,時間と共に黒ずんでまわりの自然な風景にとけ込んでいました.
一部草を刈り残している所がありましたが,そこはタコノアシが生育しているところでした.タコノアシは攪乱依存種の要素の強い植物で,しばしば河川工事の後にみられます.環境の安定とともに多量の埋土種子を残して消滅してしまいますが,せめて種子を散布するまで待っておこうという,粋な計らいが感じられますね.
そう言えば,散策路に降りれるようになって再発見するのがレンガ橋です.上の部分は普通の道路として使用されています.橋を渡っている限り,橋桁には気づきませんがなかなか風情のあるものですね.

[木村保夫]



[2005/09/20]
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全景
 
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マコモ(手前)とヨシ(奥)の
生育状況
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6月,8月刈り取り下でのヨシの
生育状況


 半年ぶりに坂川を訪れてみました.施工から既に2年ほどが経過した状況ですが,何か,施工直後に見られた人工的な”角”がとれて,柔らかな景観となった気がします.現場に行ってみると,マコモの生育はすこぶる良好でしたが,ヨシは草高が低く高さ1m程度でした.後に聞きましたが,マコモについては刈り取りを行っていないが,ヨシについては6月と8月に地上部の刈り取りを行っているとのことでした.ヨシは放置しておくとあっという間に増えてしまいますが,こうした維持管理により良好な景観が維持できる好例ですね.散策路を歩いていると,魚をとる仕掛けが設置されているのを発見しました.採った魚を食べる訳ではないと思いますので,何らかの遊びであると思います.こうした遊び場として坂川が活用されつつあるのは嬉しいものですね.もう少し進むと,例によってタコノアシを発見しました.昨年みつけた所にも生育していましたが,さらに下流の置石工の部分でも生育を確認しました.この時期に開花結実が認められていないため,昨年確認した場所から種子の散布により今年定着したものかもしれません.最後に散策路から道路へ上がる階段のところである紳士に呼び止められました.坂川はとてもよい川になったので是非魚釣りをしたいのだが,誰もやっていない.魚を釣ってもよいのか?という質問を受けました.今日は坂川の自然再生とともに,人も坂川に戻ってきたことを実感できました.

[木村保夫]



[2005/02/24]
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セキショウモ


 冬に坂川を訪れてみました.水中にセキショウモが生育しているのを見つけました.以前から生育しているのは知っていましたが,だんだん群落が拡大しているようです.冬にも生育しているため,魚の生息にとっては貴重な水生植物といえるでしょう.春が待ち遠しいですね.

[木村保夫]



[2004/10/24]
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入念に道具の準備をする彼
 
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ここぞと思ったポイントに仕掛けを
投入する彼
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ギャラリーが増える中,否応なく
高まる緊張感


...という訳で,彼に坂川で釣りをしてもらうことにしました.2004年6月4日の作業で思いの外,多様な魚が生息していることが分かったのですが,では,一体どんな種類が?これまで坂川で釣りをする人など皆無であったらしく,すぐに興味を持った人が集まってきました.坂川もこんなに魚が戻ってきたんだとアピールできる絶好の機会です.途中でエサのミミズを全部川に落っことしてしまうアクシデントも発生しましたが,結構釣れました.目視で確認できた,ボラ,コイ,オオクチバス(ブラックバス),カムルチー(ライギョ),カダヤシ(私はメダカと思っていましたが...)の他,タモロコ,ウキゴリ,モツゴ,ウグイ,マハゼ,ハスを釣り上げました.まさに五目釣りですね.

[木村保夫]
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タモロコ
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ウキゴリ
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モツゴ
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ウグイ
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マハゼ
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ハス


[2004/09/07]
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全体景観
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水辺の散策路からの風景
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タコノアシという名の植物


 秋になりましたが,かなり川の風格が出てきた坂川です.そういえば,坂川の整備において特筆すべき点として水際に散策路があるということです.散策路とはいっても”歩きたい人はどうぞ歩いてください”というシンプルなものです.あまり歩く人が少ないと草に埋もれてしまうこともあります.こうしたコンクリート2面張り護岸の河川はどうしても上から見ることが多くなりますが,水際に近づいて川を歩くとこれまでとは違った風景が見えるもので,とても新鮮です.散策路を歩いているとタコノアシを発見しました.本種は環境省のレッドデータブックにも掲載されている植物ですが(絶滅危惧Ⅱ類),攪乱された湿地に出現することが多いようです.しばしば工事現場で出てきます.坂川でも施工の後の環境がタコノアシの生育に適したものとなっていたのでしょう.

[木村保夫]



[2004/06/04] 今回はスペシャル.
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全体景観
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ヨシ
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マコモ
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テナガエビを採って喜ぶ図
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調査風景(マコモ)
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水域に発達するマコモの地下茎
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水面を泳ぐヘビ
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ボラの群
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テナガエビ


 今回はちょっとスペシャルです.一番最初の施工からおよそ1年が経過しました.初期の頃の写真と比べると,かなり川らくなってきたのではないでしょうか.今回は,植生調査とともにどの様な生物が生息しているか簡単な調査を行ってみました.目的が坂川の自然再生ということであるのですから,植物だけではなくその他の生物の生息状況も気になりますね.水の中をのぞいてみると,長いはさみのテナガエビがかなり生息していることが分かりました.また,ボラの群やヘビの仲間など,かなりの種類の生物が生息していることが確認されました.うれしいですねぇ.

[木村保夫]



[2004/05/21]
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新しい施工区間
 
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何も植栽されていないロールの区間も
試験的に設置されました(白線)


 冬の間に,さらに下流区間で施工が行われました.既存樹木があるので,その下では植物が十分に生育できないと考え,樹木の下を避けるように植物を設置しました.また,放置しておくとどの様な植物が定着するのかを見るために,何も植栽されていないベストマンロール(植生ロール)も試験的に設置されました.

[木村保夫]



[2003/10/17]
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マコモの生育状況
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ヨシの生育状況
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タケノコの様なヨシのシュート


 10月に入りぐっと気温が低下するようになると,そろそろ植物の成長も終わりです.今年はマコモもヨシも高さ1m程度と比較的草丈が低い状態でした.これは植栽した時期が遅いことによりますが,来年はどの程度成長するかが楽しみです.もしかしたら,全然出てこなかったり...という不安も若干あります.少し植物の生育状況を調べてみると,ヨシやマコモに太い地下茎が形成されていることが確認できました.来年は大丈夫でしょう.

[木村保夫]



[2003/09/17]
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水際に水生植物群落が形成されつつ
あります
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ヨシもマコモも良好に生育して
います.
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当初成長が心配されたマコモも
かなりのびてきました


 そろそろ,生育期間も終盤にさしかかってきましたが,7月からわずかな生育期間でしたがまずまずの成果が得られたと思います.今後が楽しみですね.

[木村保夫]



[2003/08/23]
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大分植物が成長し,それらしい景観が
できてきました
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ヨシは比較的良好に生育しています
 
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マコモの一部ではやや成長が悪い所が
あり,少し心配です.


 施工からおよそ1ヶ月が経過しましたが,ヨシやマコモも成長しかなり水辺の風景らしくなってきました.一部にマコモの生育が悪い場祖があり,その後の生育が少し不安です.夏期の植栽では植栽済みベストマンロールに生育した植物の地上部を切って出荷しますが,そのことがその後の成長に影響したのかもしれません.

[木村保夫]



[2003/07/28]
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施工直後の状況
 
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マコモ(奥)とヨシ(手前)が
成長してきました
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コンクリート再生骨材を使用した小道
 


 7月の施工は植物にとって厳しい条件でしたが,およそ2週間でマコモやヨシの成長が認められました.一安心です.コンクリート再生骨材を積み上げた散策路には水際に大小様々な空間が形成されています.今後,こうした空間に様々な生物が住み着くことが期待できます.

[木村保夫]



[2003/07/10]
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施工前の坂川
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植栽済みベストマンロールの設置状況
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ロールの背後に客土している状況
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 私が現場を訪れたときはそれほどでもなかったのですが,かつての坂川はかなり汚染がすすみ真っ黒だったそうです.現在では江戸川の高水敷の流水保全水路から水の一部を流入させており,かなり水質の改善が進んでいます.しかし,写真すを見て分かるように,掘り込みのコンクリート二面張り河川で水際に植生のない典型的な都市河川の様相を呈していました.そこで,マコモとヨシの植栽済みベストマンロール(植栽済み植生ロール)を設置しました.しかし,坂川は水位の日変動があるため,ロールの設置高をどこにするかが技術的課題でした.右の図のようにロールの天端を日変動のHWLに合わせて設置しました.植栽済みベストマンロールを使用した理由は導入した植物を確実に定着させ,アメリカセンダングサやセイタカアワダチソウなどの外来種の定着を抑制るためです.

[木村保夫] 


[2003年7月10日]