2009/01/12(月)大阪府 晴明丘小学校ビオトープ改修 ~漏水補修(遮水)と湿地整備 生き物豊かな水辺へ~

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「心豊かな丘の子ども」を校訓に掲げる大阪市阿倍野区にある市立晴明丘(せいめいがおか)小学校(学校案内:http://www.ocec.jp/school/index.cfm/6,0,29,222,html) では平成13年に創立100周年記念事業として「自然観察学習園」が建設されました。池・水路、田んぼの整備、そしてたくさんの木々の植栽が地域の方々の 協力を得て行なわれ、完成からこれまで先生が子供達に野草の名前を紹介したり、写生会が開かれたりと子供達の環境教育の舞台として活躍してきました。


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2009/3/10 改修前の状況(池の護岸部及びせせらぎ河床からの漏水による水位低下・水枯れが発生)


ただ完成からまる7年を経過し、池及び水路 の基礎構造部コンクリートの老朽化に伴ない池部では護岸からの漏水が発生し十分な水位が確保出来ず、またせせらぎに至っては河床からの漏水のためほぼ水枯 れ状態となっており、当然ながら池からせせらぎ上流部への循環用ポンプも止めざるを得ないという状態に陥ってしまっていました。
そこで漏水箇所の特定とベントナイト混合土(ベントナイトとは水を含ませると粘土に近い状態に変質する天然の鉱物で、これを土に適当な配合で混合させた り、あるいはマット状に加工したものを敷設する事で半永久的な遮水を図る事が可能です)による補修を行なう事になりました。またこの池とせせらぎを、もっと水辺の生き物達がその生命を育みやすい舞台とするため、水域内への土の投入、湿地ゾーンの整備、植栽済みベストマンロール(BRP203)及びルートボール(BC06)による水辺植生の導入を漏水補修と併せて実施する事になりました。


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2009/5/13ベントナイト混合土による漏水部位の補修及び土壌の投入。


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池内にアゼスゲの植栽済みベストマンロールを設置し、コンクリート護岸部とロールの間に土壌を新たに投入、湿地ゾーンを形成。


漏水の補修は大掛かりな作業になりがちで、 漏水箇所が絞れないために結局全体的な遮水構造そのものの工事をやり直すというケースも少なくありません。幸いこの「自然観察学習園」においては事前調査 段階で漏水しているエリアがある程度絞り込めたため、怪しい部位にベントナイト混合土を集中的に丁寧に均し練り込むことで比較的容易に漏水を解決する事が 出来ました(水を実際に溜めて確認できるまでは正直かなり不安でしたが・・・)。


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2009/6/25改修工事1ヶ月後の状況


改修工事から約1ヶ月を経過して状況を確認しに行ったところ、池の水は綺麗に澄み、せせらぎ・池にはたくさんのメダカの赤ちゃんが元気に泳いでいました。 そして自然観察園内の田んぼには子供達に植えられた稲が青々と育っています。よく目を凝らして見つめてみたら、「・・・あっ!」という発見がそこにある、この「自然観察園」がそんな場所になってくれる事を期待しています。


[2009年1月12日]