2008/06/12(木)大阪府 今城塚古墳整備工事 チガヤによる墳丘法面緑化 ~史跡公園内における在来種緑化~

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大阪府高槻市にある今城塚古墳は古墳時代後期の6世紀前半に築造された前方後円墳(三島野古墳群に属する)で,淀川流域では最大規模の墳墓として知られて います。高槻市は7ヵ年の歳月をかけて荒廃した墳丘の復元事業に取り組み,2011年4月に史跡公園として整備・一般公開するに至りました。

貴重な文化財である古墳内の工事は地盤を攪拌したり,重機進入による大規模な客土搬入が出来ない等の制限が設けられる事が一般的で,雨水や地震等により侵 食や崩壊の進行した(あるいは今後進行するであろう)場所の対策工法も,古墳保護と施工性の両面からの検討が必要となります。また古墳内で緑化を行う場合 は,日本の歴史的遺産であるという事を踏まえ,一般的な公園植栽とは違った角度での導入植物種の検討が求められます。今城塚古墳の敷地周辺では至るところ でセイタカアワダチソウ,ヒメムカシヨモギ,ヒメジョオンなどの外来植物群落が確認されていた事もあり,これらの植物の墳丘(周辺)部への更なる拡大を防 止を含め,在来種による緑化への積極的な取り組みが,事が早い段階で決定されました。


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施工前の墳丘法面の状況.
平成20年5月13日撮影.
 
 
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施工中の状況.
平成20年5月13日撮影.
 
 
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施工中の状況.
大型ネット付ノシバの設置後,
チガヤのルートボールミニを植栽.
平成20年5月13日撮影.
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チガヤのルートボールミニ.
平成20年5月13日撮影.
 
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チガヤのルートボールミニ.
平成20年5月13日撮影.
 
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ノシバ内への削孔植栽.
平成20年5月13日撮影.
 
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施工完了直後の状況.
平成20年5月13日撮影.
 
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施工完了直後の状況.
平成20年5月13日撮影.
 
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施工完了直後の状況.
チガヤ植栽密度:25 株/㎡
平成20年5月13日撮影.


そんな中,墳丘と内濠の境界にあたる法面部において歴史的な背景や史跡公園としての景観性を考慮し,ノシバ-チガヤ群落の成立を目標とし,侵食防止機能を備えた大型ネット付ノシバをベースに25株/㎡の密度でチガヤのプラグ苗(ルートボールミニ:BC02)が植栽されました。


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施工後1ヶ月経過時の状況.
平成20年6月12日撮影.
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施工後1ヶ月経過時の状況.
平成20年6月12日撮影.
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施工後1ヶ月経過時の状況.
平成20年6月12日撮影.
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施工後2ヶ月経過時の状況.
平成20年7月10日撮影.
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施工後2ヶ月経過時の状況.
平成20年7月10日撮影.
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施工後2ヶ月経過時の状況.
平成20年7月10日撮影.
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施工後2ヶ年経過時の状況.
平成22年10月18日撮影.
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施工後2ヶ年経過時の状況.
平成22年10月18日撮影.
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施工後2ヶ年経過時の状況.
平成22年10月18日撮影.


チガヤは貧栄養と乾燥という土壌条件下でも生育できるため,植栽施工から2年を経た現在,群落は,ほぼ自然に近い状態に成長しました。 約1500年前に築造されたとされるこの今城塚古墳は全国的にも珍しい大規模な埴輪(はにわ)祭祀場が設けられた史跡公園として広く注目を浴びています。 もし訪れる機会がありましたら是非とも遥か遠い昔の古墳時代の情景を思い浮かべながら,墳丘沿いに帯状に延びるチガヤ群落も併せてご観賞ください。ちなみ に,墳丘内林床に拡がるシャガ群落(下写真)も見ものです。


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墳丘内のシャガ群落.
平成21年4月27日撮影.


[2008年6月12日]