2002/02/01(金)福島県 鹿島池 ~ため池のオアシス化~

人工的要素の強いため池を貯水利用のみにとどまらず、親水的利用及び自然生態的なゾーンとして改修整備を行なった事例です。水際への植生導入は、水域と陸域との連続性、つまりエコトーン(移行帯)を形成させる上で非常に有効な手段と考えます。また親水目的ということで当池では水際を自然石と水生植物の組合せで構成し、柔らかい光景の創出を目指しました。


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竣工直後(2002年2月)     竣工後3ヶ月経過(2002年5月)

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1999/03/01(月)愛知県 温故井池 ~水生植物による温故井池の修景と環境復元および水質浄化~

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より自然味豊かな環境の創出を計るために,温故井池の一部に水生植物を導入し,景観や生態系に配慮した環境づくりを行いました。水生植物群落は多様な水生生物の生息地となり,特に魚類の産卵場所や稚魚の生息場所として機能します。また,水生植物による水質浄化作用,植物群落による景観的効果も期待できます。一般に水生生物の生活拠点のポイントとして, ○ 水際は極力多孔質もしくは,植物による構造とする。 ○ 流れや水深の変化,水際部の直線化,単純化を避ける。 ○ 水辺の植物群落は在来種の早期再生を目指す。 などが生態的な環境に効果的であるとされています。
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施工直後:1999年3月
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植生護岸工:2000年5月
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植生護岸工:2001年7月


植生護岸(L 76m,W 1.5m) 温故井池の水際は岩組護岸が配置されていますが,その前面に水生植物群落が形成すると,岩との組み合わせによって,より自然に近い景観が形成されるものと考えています。また,水際のヨシ群落には水質浄化の効果や,小動物のすみかとしての機能があります。
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ベストマンアイランド施工(16ユニット)
:1999年3月
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ベストマンアイランド施工
:2000年5月
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ベストマンアイランド施工
:2001年7月


人工浮島(64㎡) 人工浮島はステンレスパイプを三角形に組み合わせたもので,ドイツでは1979年から普及している製品です。 この人工浮島にはヨシ,ガマ,マコモ等の水生植物が植栽されており,多くの根が水面下にカーテンのように垂れ下がります。植物はここから,水質悪化の原因となっているチッソやリンを吸収します。また,水面下に垂れ下がった根は,魚類の産卵場所や稚魚の生活場所として機能します。


[1999年3月1日]

1998/03/11(水)岐阜県 勝賀大池 ~ため池における植生護岸の活用~

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設置後1.5年の状況.水際に水生植物群落が形成された.
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水際にベストマンロール(植生ロール),
その背後にベストマンパレット
(植物種:ヨシ,マコモ,フトイ)を設置.
1998年3月11日.






ため池の護岸には様々な方法が考えられます.植生護岸は単なる修景緑化ではなく,水生植物を繁茂させることにより,波浪による湖岸の浸食を防止します.植生護岸の良い点は,波浪を反射させず,吸収させることです.そのため反射波による対岸の浸食を防止します.また,写真からも明らかなように,植生護岸を形成すれば,多くの生物の生息環境として機能します.さらに,ある程度は水質の浄化も期待できるでしょう.

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1997/07/15(火)滋賀県 栗東市調整池 ~調整池コンクリート護岸の水辺緑化~

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今日では多くのため池がコンクリート護岸で覆われている.かつて,かつて良好な水質と多様な生物が生息していた農業用のため池でも,管理を容易にするために,土羽であったため池をコンクリート護岸とすると急速に水質の悪化と生物多様性の減少が生じる場合が多い.コンクリート護岸と水質の悪化や生物多様性の 減少の原因は明らかではないが,やはり,ため池の水質は周囲の環境と連携しているのかもしれない.土羽のため池を維持管理するには非常に大きな労力を必要とするために,コンクリート護岸となるのはやむを得ない場合もある.ただ,その場合にはできるだけため池の機能を損なわないような配慮が必要である.

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1997/06/03(火)長野県 諏訪湖 ~植生護岸による湖岸の浸食防止~

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ベストマンシステムの設置により水際に発達したヨシ群落.
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ヨシの高さは3.5m程に達した.


水際に発達したヨシ群落は,湖岸の景観を柔らかいものとし,また波浪のインパクトから湖岸の浸食を守ることができる.ベストマンロール(BR506,φ50cm(植生ロール))に植栽した苗(ベストマンルートボール BC06(ヤシ繊維基盤ポット苗))の大きさは,植物高がわずか50cm足らずであったが,ベストマンロールが安定した生育基盤として機能し,現在では高さ3.5mにまで成長している.


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1997年6月3日
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1998年6月5日
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2000年10月13日


一般に湖沼 におけるヨシ原の復元は,堤防前面に覆土を行い,そこにヨシを植栽する方法を採ります.この際,覆土前面は波浪により湖岸が浸食されるため,板柵工を施し たり,離岸堤を設置する必要がありました.しかしこの場合,施工が大がかりとなり,ちょっとした現場ではなかなか実践することが出来ないのが現状です.


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ベストマンルートボール(BC06)は
ヤシ繊維基盤の上で育成させた植物苗です.
波浪や流水の影響を受けても基盤が流失しません.
ベストマンシステムでは,安定した基盤(ベストマンロール)+充実した植物苗(ベストマンルートボール)との組み合わせや,植栽済みベストマンロールを使用することにより,植生護岸を迅速に形成することができます.場合によっては,板柵や離岸堤防が必要であった場所でも安定したヨシ群落を形成させることが出来ます.






置きに向かって発達したヨシ群落は景観的に優れているだけではなく,生態的にも大きな役割を果たしています.

[木村保夫]

[1997年6月3日]