生物の多様な在来種草地をつくる

 在来種草地(そうち)構成種は一体どのようなものなのでしょう。外来種であれば、ネズミムギであったりシナダレスズメガヤであったり、そのイメージを比較的容易に想像することができます。しかし、在来種草地となるとどうでしょう。ススキでしょうか?チガヤでしょうか?在来種草地は単一の植物ではなく、何か様々な種類の植物が混在しているイメージがあります。「緑化」と「草地の創出」の違いはこの辺にあるのかもしれません。では、複数の種類で緑化すれば草地なのかというと、それもちょっと違うような気がします。在来種草地にはそれぞれの種の繁殖様式に応じた分布があり、決して均一な分布ではありません。そこがまた草地らしい草地の創出を難しくしているように思います。

外来種草地 例 especmic


在来種草地の構成種

 在来種草といっても様々なものがありますが、あまり難しいものではなく、ちょっとした田舎の堤防の法面や畑や田んぼの法面に行くと普通に生えている植物がいいですね。場所によって種構成やそれぞれの生育数は異りますが、ウマノアシガタ、在来タンポポ、ノアザミ、ワレモコウ、アキカラマツ、ノビル、ツリガネニンジン、ヤブカンゾウなどがみられます。そして、その隙間を埋めるようにチガヤなどが生育しています。

在来種草地の構成種 especmic
在来種草地の構成種 especmic
在来種草地の構成種 especmic


在来種草地をつくる

 課題はどうすれば在来種草地をつくることができるかです。在来種のポット苗を植栽すればできそうな気もします。しかし後から生えてきた荒れ地雑草に覆われて、そう簡単に在来種草地にはなってくれません。荒れ地雑草には在来種もあれば外来種もあります。いずれもが初期成長がとても速いのが特徴です。とにもかくにも、まず荒れ地雑草の侵入を何とかしなければならないようです。エスペックミックでは、様々な方法を検討していますが、現時点で有効な方法はチガヤマットを設置し、そこに在来種のポット苗、あるいはルートボールミニを植栽する方法です。この方法であれば、荒れ地雑草の侵入をかなり抑えることができますルートボールミニは野草の小さなセル苗なので、ポット苗よりも安価に容易に植栽ができます。ただし、苗が小さいので大きく成長するまでには少し時間が必要になります。チガヤマット混植タイプを用いる方法もあります。

在来種草地をつくる especmic


配植は結構難しい

 人が植栽すると、どうしても花壇のような植栽になってしまいがちです。かといって、実際にやってみるとよく分かるのですが,ポット苗の位置をひとつずつ図面に落とす作業は様々な意味でとても大変です。だからといってエリアを指定してランダムに植栽するような指定をしても、現場でこれを実施するのはなかなか難しく、結局は均一に植栽されたりもします。やはり、ある程度図面での指示があった方が安心ですね。何か簡単で良い方法がないものかと模索しましたが,統計的な手法を用いて植栽の配置を決める方法を試みました。まず、χ-y座標を作成し、そこにプロットをランダムに配置します。種子繁殖が卓越している種、例えば、タンポポやノアザミなどをこれに当てはめます。実際には種子が発芽できる環境は均一ではないので、厳密には違うと思いますが、まぁ、それっぽい配置になります。では、地下茎による繁殖が卓越している種はどうでしょう。さすがにランダム分布のみというわけには行かなさそうです。そこで、ランダム分布したプロットを中心に標準偏差を指定して統計的にプロットを配置してみました。これは親株からの地下茎による子株の広がりを想定しています。広がりの程度は標準偏差の値を変更することで調整しました。これも実際の植物の繁殖様式を表すものではありませんが,植物の植栽場所の設定としてはそれっぽい配置になります。実際の現場は正方形ではないので,それほどうまくは当てはまりませんが,何らかの参考にはなりそうです。

在来種草地の配植 especmic
在来種草地の配植 especmic



維持管理はどうすればよいのだろう

 草地をつくる上で,必ず課題となるのがその維持管理です。私たちが提案する草地では刈り取り管理を推奨しています。広い面積に対して除草管理は大変ですし,何を除草してよいのか,何を残すべきであるのかそれなりに知識が必要になってしまいます。安定したチガヤ草地は,おおよそ1年に2回程度の草刈りが行われていますが,うまく管理するとそれぞれの季節で様々な花を見ることができるようになります。いつ刈り取りを行うかによって見られる花がかわります。ただ,もったいないからといって刈り取りを行わないと,雑草の侵入も多くなり,チガヤ草地を維持することが難しくなります。思い切って刈ってしまう必要があります。複数の種類の植物を植栽した場合,刈り取りの時期や頻度によって毎年開花がみられる植物もありますが,一度も開花を見ることができない植物も出てきます。この場合は,3年に一回くらい刈り取り時期や頻度を変則的に実施することで,通常見られなかった植物の開花を見られるようなるかもしれません。こういった維持管理も面白いかもしれません。いずれにせよ,それぞれの現場において,導入した植物の種類,立地条件やその年の気候などを踏まえ,刈り取り時期と頻度を試行錯誤する必要があります。

在来種草地の維持管理 especmic

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