これまで治山における法面は、安価で初期成長の早い外来種が多く使用されてきました。しかし、近年では生物多様性保全の観点から在来種を使用することが推奨されています。少し前は在来種といえば外国産のススキ、ヨモギ、コマツナギなどしか知られていませんでしたが、現在では日本国内で生産された在来種であるメヒシバ、カゼクサ、チカラシバ、ススキなどの在来種が利用できるようになっています。エスペックミックでは日本の在来種やシカ不嗜好性植物を切り口にした種子吹付、苗の植栽、植生マットの設置などによる治山緑化の方法を提案しています。


事例紹介



日本国内産在来種を用いた治山緑化にかかわる事例を紹介します。 在来種を用いた治山緑化の事例を見る >



エスペックミック(株)|種子吹付/客土吹付

種子の供給

 在来種は種子が確保し難い上、施工してもほとんど発芽しないというイメージがありました。これは適切な植物が選択されていなかったことに起因しています。適切な植物を利用すれば日本の在来種でも外国産の植物と同等レベルで速やかに緑化を行うことができます。エスペックミックでは緑化に適した植物を見つけ出し、それらを圃場で大量に生産することで国産の種子を安定供給することを可能にしました。

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エスペックミック(株)|種子吹付/客土吹付

在来種で緑化シート

 標準配合として日本の在来種であるメヒシバ、カゼクサ、チカラシバを用いた植生シートです。いずれもエスペックミックの圃場で生産されている国産の種子を使用しています。これまで在来種は発芽率が悪いという印象がありましたが、エスペックミックでは、一年草と多年草とを組み合わせることで、在来種でも早期緑化を行うことができるようになりました。

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鹿不嗜好性植物による緑化

シカ不嗜好性植物による緑化

 シカによる食害の影響を受ける場所で生育する植物はシカ不嗜好性植物と採餌耐性植物に区分することができます。こうした植物については様々な文献に記述がありますが、エスペックミックでは文献に記されている植物の内、実際に法面緑化に利用できそうな植物を抽出し、食害が問題となっている地域で試験施工を行っています。 私たちはこれまで日本に生育する植物(在来種)を使った緑化に取り組んできていますが、シカの食害を受ける場所においても在来種で緑化できないか試行錯誤をおこなってきました。こうした中、ススキ、チカラシバ、カゼクサが有効であることがを試験施工を通して確認しています。

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萱株苗(かやかぶなえ

萱株苗(かやかぶなえ)

 治山工事で丸太柵工(木柵工)や丸太土留工、丸太筋工は萱株(かやかぶ)で緑化されています。萱株は現場周辺からススキを探して株を掘り取って株を小分けにして植栽に用います。ススキはあちこちに生育していると思われますが、探すと意外にこれが見つからず、見つかっても重機が入れる場所でなかったりします。場合によっては人力で堀り取りを行わなければならなかったりして以外に労力がかかります。こうした状況を背景に、萱株の代わりにφ2cmのススキの萱株苗が開発されました。萱株苗は軽量で植栽も容易です。種子から生産しているため植栽後は良好に活着します。
 必要な時に必要な量の萱株苗を購入すれば、野外に生育するススキから萱株を作成する時間を削減できたり、掘り取った萱株が枯れない様に保管する必要もなくなります。

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鹿不嗜好性植物による緑化

先駆樹木苗(せんくじゅもくなえ)

 法面を早期に樹林化するため、様々な工法が提案されています。確かに切土法面の場合には植生基盤や肥料などが含まれている資材を使うことが有効ですが、盛土法面の場合、植物の力だけで何とかなれば、かなり安価に緑化を行うことができます。そこで、開発されたのがφ2㎝~φ4cmの先駆樹木苗です。樹種はヌルデ,アカメガシワ,ウツギ、ニシキウツギなどの先駆樹木を用います。これらの樹木は崩壊地などに、いち早く侵入定着するため、養分が乏しい立地条件でも速やかに成長します。植生土嚢や植生バックなどの工法に用いる苗としても適しています。

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