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滋賀県 栗東市調整池 ~調整池コンクリート護岸の水辺緑化~

 

今 日では多くのため池がコンクリート護岸で覆われている.かつて,かつて良好な水質と多様な生物が生息していた農業用のため池でも,管理を容易にするため に,土羽であったため池をコンクリート護岸とすると急速に水質の悪化と生物多様性の減少が生じる場合が多い.コンクリート護岸と水質の悪化や生物多様性の 減少の原因は明らかではないが,やはり,ため池の水質は周囲の環境と連携しているのかもしれない.土羽のため池を維持管理するには非常に大きな労力を必要 とするために,コンクリート護岸となるのはやむを得ない場合もある.ただ,その場合にはできるだけため池の機能を損なわないような配慮が必要である.

今 回の事例は,既に汚染の進んだコンクリート護岸のため池の水際に植生を導入する試みである.事例自体は今からおよそ10年前の1997年に実施された先駆 的なものである.当時,こうした環境への植生の導入について具体的な方法は確立しておらず,かなり試行錯誤を伴うものであった.既設コンクリート護岸にア ンカーを設置し,そこから植栽済ベストマンロールを吊り下げる方法を試みた.その結果,水際に植物群落を創出することができた.

植栽済ベストマンロール.1997年7月15日撮影
かなり汚染が進んだ調整池 設置からおよそ1年後の状況.1998年5月22日撮影

しかし,こうした汚染がすすみ富栄養化した水域では微生物の活動によりヤシ繊維の分解が極めて早く,僅か数年でヤシ繊維が生物によって分解されてしまうこととなった.

そ の当時は自然に分解する素材の使用が推奨されていたが,こうした人工的な環境においては,微生物により分解しない植生基盤の適用が重要であることがこの時 点で示唆されることとなった.こうした経験を踏まえ,今日,エスペックミックの製品は生分解性から非分解性の素材まで,様々な現場に適用することが可能な 植物製品を提供することが可能となっている.

[木村保夫]

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