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兵庫県 猪名川北伊丹地区高水護岸工におけるチガヤマット緑化 ~堤防の在来種緑化と維持管理費の低減に向けて~

 

 

  兵庫県と大阪府の境界付近を流れる近畿を代表する一級河川の一つ、猪名川。  この猪名川の北伊丹地区(大阪国際空港の北西部)にて2011年3月、高水護岸の改修工事が竣工しました。工事は軍行橋上流の右岸側約150m程の区間に渡って実施されましたが、この工事区域内においてチガヤマットの試験施工にのぞむ事になりました。
チガヤ群落成立を目指すにあたって弊社のチガヤマット工 法の効果は既に様々な現場で実証してきましたが、河川改修工事・築堤工事は盛土工や築堤工に用いる土壌の性質、その土地の気候、工事時期、冠水頻度、工事 区域周辺の植生環境など現場条件は様々です。そのため、必ずしも他現場と同じような経過・結果が待っているとは限らないのが現実です。それが植生工の難し いところでもあり、また竣工が完成でないという面白いところです。

施工中の状況. チガヤマット試験施工区. チガヤマット試験施工区(法肩より).
平成23年3月18日撮影 平成23年3月18日撮影 平成23年3月18日撮影
地ごしらえ作業 レーキで軽く表土掻き. チガヤマット.

平成23年3月18日撮影

平成23年3月18日撮影 平成23年3月18日撮影
チガヤマット敷設. チガヤマット敷設完了. 目串打ち込み.

平成23年3月18日撮影

平成23年3月18日撮影 平成23年3月18日撮影
目土掛け実施. 施工完了時の状況. 施工完了時の状況.

平成23年3月24日撮影

平成23年3月24日撮影 平成23年3月24日撮影
  さていい加減前置きが長くなりましたが、施工後2ヶ月を経過した時点で写真の通り、チガヤは非常に良好な生育を遂げています。既に相当量の根系が堤体内に伸長している事も確認されています。とにかくVeryGoodです。
ところでそもそも堤防法面においてチガヤ群落が成立する事によってどのような効果が期待できるのでしょうか?堤防法面という環境下で群落を安定的に維持す る能力を備える「在来の植物種」は実は非常に限られています。チガヤはその代表選手と言って良いでしょう。帰化植物の猛威が取り沙汰される中で「在来種緑 化」は非常に意義深い取組みである事は間違いありません。ただ日本の自然生態系を保全・復元するための「在来種緑化」という事以外にチガヤ群落に期待でき る事があります。まず一つ、チガヤは非常に強健な根系を備えている事で高い土壌緊縛能力を発揮する、つまり法面表土の安定に非常に適した植物であるという 事があげられます。そしてもう一つ、実はこれが今回の試験施工が掲げる旗でもあるのですが「堤防の維持管理費の低減」です。
施工1ヵ月後の状況 その1 施工1ヵ月後の状況 その2. 施工1ヵ月後の状況 その3

平成23年4月21日撮影

平成23年4月21日撮影 平成23年4月21日撮影
草丈は平均7cm程度. 新芽の展開状況. 施工区遠景(下流より).

平成23年4月21日撮影

平成23年4月21日撮影 平成23年4月21日撮影
隣接する張芝部の状況. ノシバも綺麗に新芽を展開. 張芝の目地から顔を出したイタドリ.

平成23年4月21日撮影

平成23年4月21日撮影 平成23年4月21日撮影
施工2ヵ月後の状況 その1. 施工2ヵ月後の状況 その2. 施工2ヵ月後の状況 その3.

平成23年5月27日撮影

平成23年5月27日撮影 平成23年5月27日撮影
草丈は平均15cm程度. 生育は極めて良好. 地下部の状況.

平成23年5月27日撮影

平成23年5月27日撮影 平成23年5月27日撮影

  一般的に築堤工で実施される植生工は張り芝工ですが、芝地を維持するにはご存 知の方も多いかと思いますが、3~4回/年の刈取り管理が必要となります。堤防の維持管理(草刈り)はあくまで堤体の健全性を確認・維持するために実施さ れるもので芝地を維持するため行なわれるものではありません。よってほとんどの場合2回/年、多くて3回/年という頻度で刈取り管理となっています。そし てその結果、張り芝工を実施した現場では、2年後3年後にはネズミムギ等の牧草類やセイバンモロコシ、キク科雑草を始めとした帰化植物群落に遷移してし まっている事が珍しくありません。
調査区全景
(左
チガヤマット工:右 張芝工).
張芝区内から現れたネズミムギ.
調査区の堤防道沿いに広がる
ネズミムギ群落.

平成23年5月27日撮影

平成23年5月27日撮影 平成23年5月27日撮影
高頻度の刈取りを行なわなければ維持できない、また帰化植物群落に遷移してしまう危険性の高い 芝に対してチガヤは基本的には2回/年の刈取管理で良好な群落を維持することが可能です。そしてまた1回/年の刈取管理でも他種に被圧される事無く 良好 な群落を維持している場合もあります。
この試験施工区では隣接する張芝施工区を対象区として設定し、刈取の頻度を1回/年と2回/年の区画に分けて今後侵入種の確認を含めた比較追跡調査を行 なっていく事になります。現段階ではまだ何とも言えないのが正直なところですが、「堤防の維持管理費低減」に向けた何らかの有効な結果が得られる事に期待 したいと思います。

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