2018/11/02(金)千葉県 豊岡幹線排水路 ベステック・ロックロール設置による生物多様性の確保

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コンクリート三面張水路にベステック・ロックロールが設置されました。


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 圃場整備工事において,これまでの土水路はコンクリート三面張の水路となりました。排水路なので水田の高さから深く掘り込まれています。コンクリート三面張水路は,水域に植物が生えにくいため,維持管理に優れますが,生物多様性を考えた場合,課題も多くあります。そうした中,生物の生息空間を確保するために,排水口近くにベステック・ロックロールが設置されました。排水口から流下した生き物が下流に流されてしまわないように配慮されています。こうした場所を複数設けることで,生物が生息できる環境としています。ベステック・ロックロールは2007年8月に設置されました。

設置から10年後,多くの生物が確認されました。

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 三面張水路にベステック・ロックロールを設置してからおよそ10年後の2017年6月,現場の状況を確認しました。ベステック・ロックロールは破損もなく残っており,生物の生息空間として機能していました。ベステック・ロックロール下流には厚さ3~5cmに砂が堆積し,小さいながらも多様な環境が創出されていました。生物の調査を行ってみると,ベステック・ロックロール周辺には,ドジョウの仲間,ハゼの仲間,モクズガニ,スジエビ,タニシなど18種類を確認することができました。何種類かは絶滅が心配されている生物でした。一方,何も設置されていない水路部分ではスジエビ,カワニナなど僅か6種類のみが確認されました。また,ベステック・ロックロール周辺は種数が多いだけではなく,何も設置していない範囲と比較して,個体数が多かったのが特徴です。

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左:ベステック・ロックロール周辺,右:何も設置されていない範囲。

非常に僅かな区間ですが,ベステック・ロックロールを設置することで生物多様性を確保することができたのではないかと思います。もう少し長い延長で設置することで個体数を増やすことができるのではないかと思います。

(木村保夫)