2005/03/14(月)千葉県 真間川

[2006/06/02]
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ヨシ群落の生育状況.
 
 
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ヨシ群落によって複雑な水際が創出され
ました.こうした場所は水生生物にとっ
て貴重な生息場所となります.
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ヨシ群落によって潤のある水辺空間が形
成されました.
 


 昨年(2005年)と比較すると,今年のヨシはずいぶん大きくなりました.草丈はおよそ2mと,昨年の1.5~2.0倍程度になっています.2004年6月24日の写真と比較してみてください.もうこれで一安心と行ったところでしょう.そうすると,次にヨシ群落のもつ機能や景観が気になるようになってきますね.ヨシ群落によって創出された複雑な水際にはきっと様々な水生生物の生息空間となるでしょう.もちろん,水質浄化の機能も併せ持っていると言えます.また景観的には写真からも分かるように従来コンクリート張りであどちらかというと固い景観でしたが,ヨシ群落の成長とともに柔らかい緑色の潤いのある景観が形成されつつあります.これからが楽しみですね.生き物調査もやってみたいですね.

[木村保夫].




[2005/11/04]
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ヨシ群落の生育状況.
 
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開花結実が認められました.
 
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一方,浮遊ゴミが顕在化するという
問題が生じました.

 
 およそ4ヶ月ぶりに現場を訪れてみました.夕方であったのでちょっと薄暗いですがご容赦ください.ヨシ群落は健在でした.ちょうど満潮時であったため,基盤は全て水没した状況でした.ヨシの草丈はおよそ1.5m程度で,6月24日と比較してそれほど大きくなっていませんでしたが,この規模の群落が生育期間中維持されたので,翌年は高さ2~2.5m程度のヨシ群落が期待できます.ささやかではありますが開花結実が認められました.水位変動幅の大きい河川感域におけるヨシ群落の創出は技術的に難しいものですが,関係者の方々の努力により群落を創出することができました.みなさまお疲れさまでした.
その一方で,ヨシ群落の創出により浮遊ゴミがトラップされるという問題が顕在化してきました.従来は直線河道であり,ゴミがトラップされることはほとんど無かったため,浮遊ゴミには気づかずに済んでいました.どこの現場でもそうなのですが,自然再生事業を行うと急に顕在化する問題です.そもそもゴミを川に捨てなければ済むことなのですが,単にヨシ群落を創出すれば自然が再生できるわけではないという現実にも対応していかなければならないと感じます.

[木村保夫].




[2005/06/24]
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成長してきました.
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何となくヨシ群落らしくなってきました.


 近くに行くことがあったので,現場に立ち寄りました.満潮に近い時間帯であったので,かなり水位が高かった状況でしたが.前回に比べてヨシも成長しました.7~9月に掛けてはもう少し太いシュートが伸長するのではないかと期待しています.ここまで来れば後は有り余る養分を吸い上げて大きく成長するのを待つだけです.何か予期せぬことが起こらないと良いのですが,出水期はこれからです.

[木村保夫].




[2005/06/06]
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これなら大丈夫かもしれない.
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良好に生育しています.
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カニ発見!


 6月に入ってから現場を訪れました.5月に現場に行くことができなかっただけに,その後どうなったか不安で一杯でしたが,良好な生育を確認することができました.遠くから見ているだけではなく,下に降りて確認してみると新芽も確認できました.これで一安心です.当初,水位の上下変動によりベステック・プラントリベットメントに充填してあった土壌が吸い出されるのではないかと心配しましたが,ヘドロが大夫堆積していることが分かりました.そこには鳥の足跡がいっぱい付いていました.よくよく見てみると小さなカニが数匹生息していることが確認できました.どこから来たのかは分かりませんが,こうした一見生き物の生息していないような河川でも,ちょっと工夫してやれば生き物が生息しはじめることになんとなく感動しました.ヨシ群落が大きく成長するとどのような生物が来るのかがこれからの楽しみです.
・・・しかし自転車はどこから来たのだろうか?

[木村保夫].




[2005/04/28]
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成長しているというよりも,枯れていないといった方が良いような状況.今後が不安.


 施工からおよそ1ヶ月後に,期待と不安の中(まるで試験の合否発表を見に行くような心境),現場を訪れました.上の写真の様な状況でした.生育してるというよりも,「まぁ,なんとか枯れていていない」といった状況でした.やはり,設置高が低すぎたのだろうかとも考えましたが,もう少し様子を見ることにしました.

[木村保夫].




[2005/03/14]

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 千葉県市川市を流れる真間川は写真の様な典型的な都市河川です.写真から分かるようにコンクリート護岸であるため,水生植物は全く生育していません.また,河川感潮域であり水位変動が1.5m程度もあることから,ヨシ等の水生植物の導入は極めて難しい状況にあります.
こうした現場においても何とか水生植物群落(ヨシ群落)の創出ができないかということで,試験施工が行われました.

<真間川の現況>
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繊維系吊りフトンカゴの設置状況
 
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ベステック・プラントリベットメント
(VDW2000)の設置状況.
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試験区の設置完了
 


 試験施工は2005年3月14日に行われました.そのままでは植物の植栽自体ができないため,ベステック・プラントリベットメント(VDW2000;中央写真)を使用することとしました.ベステック・プラントリベットメントは繊維系のフトンカゴで,L2mxW2mxH0.2mで5つの隔壁に仕切られており,その中に割栗石(50-150)と間詰材,そして植物ユニット(ヨシ)が組み合わされたものです.自重は300kg/㎡ほどあります.ちなみに現場で使用したヨシは現場に最も近い利根川水系産のものとしています.水位変動が1.5m程あることから,植物を低い位置に設置すると当然水没して枯れてしまうため,ベステック・プラントリベットメントの下に基盤高を上げるために繊維系の吊りフトンカゴを設置しています(左写真).現場の道路幅が狭いため,全ての資材については別の場所で加工し,現場ではクレーン車で吊り降ろすだけで設置を完了しています.こうして,右写真の様に延長12mの試験区が完成しました.今後,どのようになるのか期待しつつも若干の不安がありますね.

[2005/03/14]