2004/08/27(金)神奈川県 恩曽川

[2008/05/01]
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ツルヨシ群落が発達した恩曽川の状況
 
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瀬と淵が形成され良好な河川環境が
形成されました.
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未施工区間
 


 およそ半年前の状況ですが,ツルヨシ群落が良好に成立した状況です.陸域には一時的にネズミムギやオオブタクサなどの陸上の荒地植物が侵入しましたが,適切な維持管理と,時々の出水によりツルヨシが優占した状況となりました.単純にどの植物種を植栽するかというだけではなく,その場所をどの程度の頻度で出水により攪乱させるかということも(安全な範囲で),河川植生を維持するうえで重要な要素となります.もちろん,こうしたことはそれぞれの河川環境によって異なりますので,その辺が腕の見せどころということになります.

[木村保夫]



[2006/07/10]
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昨年度施工されたところは2年目ですが,
良好にツルヨシが生育しています.
 
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2006年3月にあらたに施工した区間.
植栽済みベストマンロールからツルヨシが
良好に生育しています.
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昨年同様,施工直後には様々な雑草が
侵入します.
 


 施工からおよそ1年が経過した部分と施工から3ヶ月ほどが経過した部分がありますが,なかなか面白い景観が形成されています.施工から1年経過した区間ではツルヨシがほぼ群落の優占種となっています.春に目立ったネズミムギは既に開花結実後に枯れています.出水により倒伏し,ちょうど春先とは逆の景観となりました.一方,施工3ヶ月後区間では,土地の攪乱直後であり,ツルヨシの生育も良好ですが,オオブタクサやオオイヌタデがたくさん生育していました.昨年度施工区でも施工直後には同様であったことから,来年にはツルヨシが優占すると思われます.今回の状況から河川環境に適切な植物の導入の重要性が分かります.もし,緑の”質”を問わなければ,施工直後には様々な雑草の緑となりますが,そのうちネズミムギが繁茂すると夏季に低水敷の植物が枯れて真っ茶色の景観が形成されることになっていたでしょう.いずれにせよ,恩曽川は大丈夫のようですね.

[木村保夫]



[2006/03/07]
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水際のツルヨシの地上部は枯れているが,
低水敷の外来牧草は青々としている.
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上流部の施工直後の状況.
 


 2006年3月7日の状況ですが,水際のツルヨシの地上部は枯れていますが,これとは対照的に低水敷は青々としています.この植物は主としてネズミムギ等の外来植物です.夏までに開花結実して枯れてしまうのでちょうどツルヨシとは反対の生活環をもっています.上流域については延長が伸びました.施工直後の状況になります.

[木村保夫]



[2005/08/04]
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ツルヨシにより自然な景観が
形成されました.
 
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[2004/02/17]に記しましたが,縦浸食
が生じ,ベストマンロールよりも下に
河床がある状況になりました.
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ベストマンパレットにより導入したヨシの
成長も見られますが,1年目は周囲の
雑草がかなり繁茂しています.


 8月になって現場を訪問してみると,低々水路にはツルヨシが生育し水際は良好な景観を形成しまいた.ひとまず安心です.ただ,[2004/02/17]に記しましたが河床の縦浸食が生じ,河床がベストマンロールよりも下がった状況となりました.こうした状況においても導入された植物はツルヨシであるため,植生護岸を形成することができると考えられます.一方,ベストマンパレットにより導入したヨシも良好に成長していますが,施工直後ということもあり,低水敷には1年生の雑草(ケイヌビエやアメリカセンダングサなど)が大繁茂していました.もうすこし時間が経つと安定すると思いますが,うまくヨシ群落になってくれることを望みます.

[木村保夫]


[2005/05/09]
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水際の植栽済みベストマンロールから
伸長するツルヨシのランナー
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ベストマンパレットから成長するヨシ
 


 だいぶ暖かくなり,植物の成長もようやく活発になりました.水際では植栽済みベストマンロールにより導入したツルヨシがランナーを伸長させはじめました.平場のヨシも高さ50cm程度まで成長しました.施工直後には様々な植物,特に外来種が一斉に発芽します.また,ちょっとした出水でも上流から種子が運ばれてきます.はやくツルヨシやヨシが群落を形成すれば,これらの外来種の発芽が抑制できるのではないかと思います.がんばれツルヨシ,がんばれヨシ.

[木村保夫]



[2005/04/08]
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施工から2ヶ月ほど経過した状況
 
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ベストマンパレットからはヨシが
成長をはじめました.


 施工から2ヶ月ほど経過した現場に行ってきました.まだ春先であるので植物はあまり成長していませんでした.ベストマンパレットからはヨシが成長をはじめた状況が確認できました.うまく群落をつくってくれると良いのですが...

[木村保夫]



[2005/2/17]
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施工完了


 施工完了の状況.水際に植栽済みベストマンロール(ツルヨシ),平場にベストマンパレット(ヨシ)を設置し,その上から植生ネットをかぶせています.ベストマンパレットから出芽したヨシは植生ネットの編み目から伸長します.写真から分かるように,この川幅であると流速が早く縦浸食が生じそうですが,川幅を広げると浅くなってしまいます.低水路の計画は難しいものですね.

[木村保夫]



[2004/12/14]
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植栽済みベストマンロール(ツルヨシ)と
ベストマンパレット(ヨシ)


 調査の結果から,水際は植栽済みベストマンロールによりツルヨシを,平場にはベストマンパレットによりヨシを導入することとしました.あらかじめ植物を導入することで,下流で見たようなオオブタクサ群落ではなく,ツルヨシ,ヨシ群落ができればよいのですが.冬場であるので田んぼに広げておいておきました.田んぼの土は湿っているのでこれで2週間ほどは植物が枯れずに持ちました.

[木村保夫]



[2004/8/27]
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施工予定ヶ所
 
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下流では外来種群落に
なってしまっていた
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植物が定着せず,流出した植生ロール
 


 神奈川県恩曽川では治水対策として下流から河川の掘削工事が行われてきました.今回の施工予定場所は鋼矢板でつくられた仮設の矢板上流の範囲です.どのような植物がこの河川に適切であるのかを調査しました.
理想とする自然を創出することはなかなか難しいもので,過去に施工が行われた場所は今日ではオオブタクサやアレチウリに覆われてしまっています.また,当初水際には植生ロールとともにヨシが植栽されたとのことですが,出水時の流速が早いため,ヨシが定着できず植生ロールも流されてしまっていまいた.水際には一年草が繁茂していました.

[木村保夫]


[2004年8月27日]