2008/03/25(火)三重県 木曽岬町 グリーンフェンダー

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海抜0m地帯の河川や水路では鋼矢板護岸が多用されきましたが,自然環境の整備を行う上で困難な場所の一つです.このような場所では,植栽済みベストマンロール(植栽済み植生ロール)をつり下げる”グリーンフェンダー”が効果的に機能します.












グリーンフェンダーには植栽済みベストマンロールを使用しますが,設置直後から目的とする植物群落が形成され,極短期間で良好な景観を形成することができま す.また,水域と陸域とを連続させることができますので,カエルや水生昆虫などの水域と陸域とを行き来する生物の保全にも大きな効果が期待できます.

グリーンフェンダーを効果的に活用するためには,対象とする河川が幾つかの条件を満たしている必要があります.

1) 水位変動があまりない場所であること
2) 洪水時にも流速が遅い場所であること.


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△ コーピングへのアンカーボルトの取り付け.
植栽済みベストマンロールの鋼矢板護岸への固定方法は,コーピングにアンカーボルトを固定し,ロールをつり下げる方式をとります.








この事例の場合,グリーンフェンダー設置が試験的な事もあり,取り外し,メンテナンスができるように,ナイロンクレモナロープ(φ4mm)で結束してありま す.この方法以外にステンレスワイヤーで結束するなど様々な方法で植栽済みベストマンロールを鋼矢板護岸に設置することができます.


植栽済みロールは長期間圃場の水槽で育成されているので,ある程度保水性がありますが,長期間空気中にさらされ,乾燥するような状況はあまり好ましくありません.また,ロールの一部が常に空気中にある場合,そこにアメリカセンダングサやセイタカアワダチソウなどが侵入定着する可能性があるため,こうした部分を作らないことも良好な景観を形成,維持する上で重要なテクニックとなります.一方,植え付けられている植物の種類にもよりますが,植栽済みロールは通常 水に沈みますので,水位が上昇するとロールに植栽されている植物が水没する場合があります.マコモやヒメガマ,あるいはフトイなどは水深50cm程度の場 所でも問題なく生育できますが,一般的にスゲ類やハナショウブ等はこうした条件では生育できませんので,ロールのつり下げ高と導入植物種について十分に検 討する必要があります.


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△ グリーンフェンダーを行った状況.水際に水生植物群落が形成し,良好な景観を形成.


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△ 鋼矢板護岸のみの状況.水域と陸域が明確に分かれている.陸域に生育している植物はセイタカアワダチソウ.


[木村保夫].


[2008年3月25日]