2008/03/01(土)兵庫県 昆陽池ヨシ原整備事業 ~ヨシ群落の整備とヌートリア対策~

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関西屈指の渡り鳥の飛来地、「野鳥の楽園」として知られる兵庫県伊丹市の昆陽池(こやいけ)。
都市部のため池としては広大な面積(12.5ha)を誇るこの昆陽池は、外来生物法で特定外来生物に指定されているナガエツルノゲイトウ等帰化植物の繁殖 やヌートリアによる水辺の植物の食害被害、富栄養化等様々な問題を抱えています。そんな中、現在伊丹市及びこの昆陽池の環境保全と再生に取り組む市民団体「伊丹の自然を守り育てる会」により池内の一区画においてヨシ群落整備の試みが行なわれています。


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平成20年3月
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ベストマンパレット設置時の状況
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施工1ヵ月後の状況


 平成20年3月にベストマンパレット(BP800)の設置を実施したところ、1ヶ月も経たない内にヌートリアによる食害及びパレットの引き剥がし被害を受け、ヨシが活着しないどころかパレットそのものがほぼ消失してしまうという実に苦い結果に終わってしまいました。


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平成20年5月 ヨシパレット残骸を鉄線でジャカゴ状に整形・設置するも再び失敗


そこで会の有志の方々と力を合わせてわずかに残ったベストマンパレット(ヤシ繊維+ヨシの根茎)の残骸をかき集め、鉄線のジャカゴ状に整形し直した上で再度 挑戦。しかしながら、若干の新芽展開は確認出来たもののこれもまた集中的な食害を受け、結局2度目の苦汁を味わう事になりました。周囲にはナガエツルノゲ イトウの大群落が・・・涙。


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平成21年3月 侵入防止用ネットを設置した上で再度ベストマンパレットの設置を実施


それでも伊丹市 の担当者さん及び会の皆さんは決して諦めません。「次こそは絶対に成功させる」とばかりにヌートリアの侵入防止ネットを設置、この囲いの中に再びベストマ ンパレットの設置を試みる事になりました。私も「どうか今回こそは!!」と強い思いで一緒に汗を流させていただきました。


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平成21年4月 ヨシの新芽がしっかりと出てきました。ネットも損傷は見られません。
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平成21年5月 皆の思いに応えるかの如くヨシはたくましく成長しています。


感無量・・・。ヨシはヌートリアによる食害被害を受ける事無く、しっかりと成長を続けています。皆の汗がやっと報われようとしています。このまま順調にヨシ群落が成立する事になれば、この昆陽池の野鳥達にとっての新しい生活・休息の舞台が誕生する事になります。そんな絵を思い浮かべながら、私たちは引き続き皆さんと一緒に現場を追いかけていきます。

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「伊丹の自然を守り育てる会(水部会)」の皆さん
※写真に写っていない方々、ごめんなさい


[2008年3月1日]