2008/03/11(火)大阪府 羽鷹池公園整備事業 ~クズ・セイタカアワダチソウ群落からチガヤ群落に~

[2009/05/25]
190306_003.jpg
190306_004.jpg
190306_005.jpg
190306_006.jpg
190306_007.jpg
190306_008.jpg


さて出穂の時期です。現場に足を運んでみると・・・・写真の通りの風景が目に飛び込んできました。ばらつきはありますが、チガヤは元気いっぱいです。かわいい白い穂をふわっと風になびかせ、私を迎えてくれました。もちろん去年せっせと除草にいそしんだセイタカアワダチソウやコセンダングサ、ネズミムギ等もまだまだ見られます。ただここまでの状況にもってくる事が出来れば、今後は適期の刈取管理作業のみでチガヤ群落の維持は可能です。まばらに植えたカワラナデシコも可憐で控えめな花を咲かせていました。羽鷹池の護岸にどこか懐かしい風景が戻ってきたような気がします。



[2008/07/23]
190306_009.jpg
高茎雑草を・・
190306_010.jpg
カリスマ草刈師風に・・
190306_011.jpg
カーーーット!
190306_012.jpg
メマツヨイグサ
190306_013.jpg
ヨウシュヤマゴボウ
190306_014.jpg
鎌を片手に汗だくのK氏


暑いですね。本当に暑いです。何もしなくても汗がダラダラと沸いて出てきます。近畿地方の梅雨明けが発表されてから約2週間本当に1滴も雨は降っておらず、現場の表土は砂浜の如く真っ白に乾燥しきっていましたが、チガヤは葉を丸めながらも何とかこの暑さにもめげずに頑張っています。春の間にしっかりと根を地中に伸長させる事が出来ているので今後乾燥が原因で枯れてしまう心配はなさそうです。ただ一方で、この暑さ・乾燥をもろともせず目立って元気に伸長しているのが、イヌビエ・ヒメムカシヨモギ・メマツヨイグサ・シロザ・アレチノギク・セイタカアワダチソウ・ヨモギ・エノコログサ等です。写真のヨウシュヤマゴボウもいつの間にか生えてきています。また比較的水分条件の良い法尻部には数多くのアメリカセンダングサの実生が見られました。ヒメムカシヨモギとセイタカアワダチソウについてはチガヤ群落の成立過程で今後大きな障害になる可能性が高いため刈取を実施しました。
高茎雑草が不規則に入り込んでいると草地全体が「荒地」化してしまったように目に映りますが、これらの高茎雑草にターゲットを絞って刈取してやるとずいぶん風景が落ち着くものです。気分はもうカリスマ美容師です(但し、汗だく・脱水症状気味)。ところで私のご報告は侵入雑草と草刈りの事ばかりですね・・・次回は少し視点を変えてみます。


[2008/06/03]
190306_015.jpg
たっぷりの雨を受けて
190306_016.jpg
しっかり値を張って
190306_017.jpg
1年目から見事出穂
190306_018.jpg
一応確認です。合格です。
190306_019.jpg
ブタクサ
190306_020.jpg
カナムグラ
190306_021.jpg
セイタカアワダチソウ
190306_022.jpg
クズ(生き残り)
190306_023.jpg
シロサ


雨です。私はずぶ濡れです。しかしながら植物にとっては恵みの雨。写真の通りチガヤは力強くしっかりと地中に根を伸長させています。ただ高木周りや法肩、フェンス沿いにセイタカアワダチソウを始めとした高茎雑草の伸長も目立ってきました。その他ブタクサ・カナムグラ、そしてクズの生き残りが数体・・・このまま現場を去ることが出来ず、カッパ装着にて除草作業開始です。

190306_024.jpg
190306_025.jpg
190306_026.jpg
190306_027.jpg
190306_028.jpg
190306_029.jpg


表層土の入れ替えによりかつてこの地で猛威を奮っていたクズもセイタカアワダチソウも激減しましたが、完全に除去というのはどうしても困難なものです。ただ、これは想定内の事で今年から来年にかけてしっかり現場状況を追跡し(たまに手を差し伸べ)、この現場の性格を把握しながら密度の高いチガヤ群落を一旦成立させる事が出来れば、チガヤ群落の維持それ自体は決して困難な事ではないと思っています。がんばりましょう!


[2008/04/17]
<施工前の状況>
190306_030.jpg
190306_031.jpg
190306_032.jpg

<施工直後>
190306_033.jpg
190306_034.jpg
190306_035.jpg



2008年3月大阪府豊中市北部に位置する羽鷹池公園内においてチガヤ草地の整備工事が実施されました。周辺の宅地化が急速に進んだ現在、数少ない原風景を語りかけてくれる存在であるこの羽鷹池ですが、工事前は写真の通り池周辺はクズやセイタカアワダチソウに覆われ、人との関わりを失った荒地の様相を呈していました。豊中市では「人と野鳥が集まる公園整備」を目指し、芝生広場や散策路の整備、実のなる木々の植栽と併せて、このクズとセイタカアワダチソウに覆われた地をチガヤ草地に置き換えるという内容が今回の公園整備に折り込まれる事になりました。

190306_036.jpg
地上部刈取後の表土入れ替え工事
190306_037.jpg
地上部刈取後の表土入れ替え工事
190306_038.jpg
地上部刈取後の表土入れ替え工事
190306_039.jpg
23,500株のチガヤ苗
190306_040.jpg
小柄でもしっかり者
190306_041.jpg
削孔作業
190306_042.jpg
深めに植付け
190306_043.jpg
しっかり埋め戻し
190306_044.jpg
ベストマンネットの設置


地上部の刈取除草だけではまずこれら現存植生はあっという間に再生してしまうため、地上部刈取りと併せて地中に残る根茎や埋土種子除去のため表土約20cmの入れ替えが実施されました。もちろんこれで100%リセットされる訳ではありませんが、悪条件下での表土入れ替え工事に何とか挑んでくれた施工業者さんに報いる上でも、あとはチガヤ・ルートボールミニの頑張りに期待しましょう。
「チガヤのために出来る事は全部した」・・・現場監督さんの印象的なお言葉です。本当にお疲れ様でした。
約900㎡の範囲で計23500株のチガヤ・ルートボールミニの植栽(植栽密度25株/㎡)と法面の浸食防止のためのベストマンネットの設置が無事完了致しました。また同じ範囲内でチガヤ以外にノカンゾウやカワラナデシコ等の植栽も併せて実施されています。
これらの野草と共生しながらチガヤの穂が一斉に風に揺れる風景を楽しみに待ちましょう。



[2008年3月11日]