2020/06/10(水)東京都 平和の森公園

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東京都の平和の森公園にべステック・ロックロール(ネットじゃかご)が設置されました。

べステック・ロックロールは化学繊維の網でできた繊維系のじゃかごで,地形の起伏に柔軟に対応することができます。今回の現場ではその柔軟性を活かして,湾曲した水路護岸の土留めとしてご利用頂きました。

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べステック・ロックロールの網は非常に細かい繊維を編み込んで作られており,水際など湿度の高い環境では水分を保持できるため,1年程度が経過するとネットに苔が生えることがあります。時間の経過とともにより自然な風景となっていきます。

ご興味のある方はお気軽にお問合せ下さい。

【東建介】

2018/11/02(金)千葉県 豊岡幹線排水路 ベステック・ロックロール設置による生物多様性の確保

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コンクリート三面張水路にベステック・ロックロールが設置されました。


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 圃場整備工事において,これまでの土水路はコンクリート三面張の水路となりました。排水路なので水田の高さから深く掘り込まれています。コンクリート三面張水路は,水域に植物が生えにくいため,維持管理に優れますが,生物多様性を考えた場合,課題も多くあります。そうした中,生物の生息空間を確保するために,排水口近くにベステック・ロックロールが設置されました。排水口から流下した生き物が下流に流されてしまわないように配慮されています。こうした場所を複数設けることで,生物が生息できる環境としています。ベステック・ロックロールは2007年8月に設置されました。

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2007/09/07(金)大阪府 松尾川上流ワンド整備事業 ~ワンドのビオトープ機能とその再生~

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大阪府和泉地方を流れる松尾川の上流域において 河川公園整備と併せて河川生態系保全・再生のためのワンド整備が実施されました。 「湾処」と書いてワンド・・・昨今ではこのワンドを備える河川というのはほとんど見られなくなってきましたが、ワンドは稚魚や鳥類の生活の場として、また 水辺の生き物にとっての出水時における避難場所として機能する河川生態系にとって非常に重要な舞台となります。ツ黴€ 人工的にワンドを新しく整備するというのは決して容易な事ではありません。せっかく整備しても生き物が集まってこない、出水によりワンドそのものが崩壊し てしまう、土砂堆積によりワンドが完全に埋まってしまう事も数多く報告されています。また植生という側面にも湿地状態がうまく保てなかった結果、ワンド周 囲が外来の陸生種(セイタカアワダチソウ・セイバンモロコシ等)に覆い尽くされてしまったり、逆に裸地(無植生)の状態が継続的に続いてしまったりという 問題が生じる事があります。ワンドでの豊かで安定した我が国本来の水辺生態系構築のためには、施工時段階における水辺の植生整備はやはり必要となるケース が多いのではないでしょうか。

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2006/05/23(火)千葉県 豊岡地区幹線排水路 ~三面張農業排水路の自然再生~

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一般的な三面張の農業廃水路
 
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水田からの排水口
 
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排水口の直下に設置した
ベステックロックロール


 千葉県山武市の豊岡地区では,圃場整備のため幹線排水路が設置されました.幹線排水路はその水田の水を排水するために,かなり深い水路となり,その維持管理を行うためにコンクリート三面張となる場合が多くあります.排水路の維持管理にはかなりの労力がかかりますので,維持管理を低減させるためには三面張水路は一つの方法であるといえます.しかし,その一方で,水辺の生態系を保全する点からは課題が多くあることも否めません.今回の豊岡地区幹線排水路では,水路造成にかかわる行政から,三面張水路で少しでも生態系の保全にかかわる取組みができないかとの問いかけがあり一緒に検討を行いました.
三面張水路での自然再生はなかなか難しい課題ですが,維持管理をできるだけ損なわずにできることを考えてみました.その結果,次のような目標を立てて試験施工を行いました.
① 落下した生物が最下流まで流されないような島をつくる
② 落下した生物が水田に戻ることのできる経路を確保する
島としてはベステックロックロール(STW200, 400; ネットジャカゴ)を利用しました.また,ロックロール(ネットジャカゴ)の設置箇所を排水口直下とし,カエル程度であれば水田に回帰できるようにしました.残念ながら,魚類が水田に回帰できるようにするためには,まだまだ技術的課題があります.どのような結果が得られるか,今後が楽しみです.             

[木村保夫]

[2006年5月23日]

2006/03/17(金)岐阜県 長良川 ~伝統工法“聖牛”へのロックロールの使用~

岐阜県長良川で、河川の中に棒状の資材が組み合わさったオブジェのようなものを見ることができます。このオブジェ、実は『聖牛(せいぎゅう)』という河川を 守る伝統工法の一つ。木材を組み、重しの役割をする「蛇カゴ(網の中に石を入れたもの)」をその上にのせただけのシンプルな構造をしています。

この聖牛は、減勢効果や導流効果が期待される透過性の水制工であるため、急流河川の水衝部などに配置されています。
今回、長良川の聖牛において、重しの役割をする蛇カゴ部分にべステック・ロックロールが使用されました。


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遠景からはオブジェのように見える
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長良川の聖牛
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(参考)聖牛の構造イメージ図


従来使用されている蛇カゴは鉄製のものを使用しているため、出水時などに大きな衝撃が加わると破断してしまう恐れがあります。しかし、今回使用することになったべステック・ロックロールは、 無結節網となっているため、万が一ネットの一部に破断が起きてもこれを起点に次々にほつれてしまう心配はありません。また、中詰の石を充填した状態で運搬 ができることが、大きな利点でしょう。今回は、長良川河川敷で現地の玉石を充填し、利用しました。網自体がフレキシブルであるため複雑な形状の設置場所に も対応できます。


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聖牛は構造上、隙間が多いので時間の経過と共に、様々な動植物の住処になりうるものです。設置後、ベステック・ロックロールには、周囲の玉石と同様に水中に沈んでいるネット自体にも藻類が付着し始めています。

少しずつ堆積される土砂や周囲のコンクリートブロックとともに、水中の生物にとっても有効な空間となって欲しいものです。

[松岡義宏]

[2006年3月17日]