2006/05/23(火)千葉県 豊岡地区幹線排水路 ~三面張農業排水路の自然再生~

181114_001.jpg
一般的な三面張の農業廃水路
 
181114_002.jpg
水田からの排水口
 
181114_000.jpg
排水口の直下に設置した
ベステックロックロール


 千葉県山武市の豊岡地区では,圃場整備のため幹線排水路が設置されました.幹線排水路はその水田の水を排水するために,かなり深い水路となり,その維持管理を行うためにコンクリート三面張となる場合が多くあります.排水路の維持管理にはかなりの労力がかかりますので,維持管理を低減させるためには三面張水路は一つの方法であるといえます.しかし,その一方で,水辺の生態系を保全する点からは課題が多くあることも否めません.今回の豊岡地区幹線排水路では,水路造成にかかわる行政から,三面張水路で少しでも生態系の保全にかかわる取組みができないかとの問いかけがあり一緒に検討を行いました.
三面張水路での自然再生はなかなか難しい課題ですが,維持管理をできるだけ損なわずにできることを考えてみました.その結果,次のような目標を立てて試験施工を行いました.
① 落下した生物が最下流まで流されないような島をつくる
② 落下した生物が水田に戻ることのできる経路を確保する
島としてはベステックロックロール(STW200, 400; ネットジャカゴ)を利用しました.また,ロックロール(ネットジャカゴ)の設置箇所を排水口直下とし,カエル程度であれば水田に回帰できるようにしました.残念ながら,魚類が水田に回帰できるようにするためには,まだまだ技術的課題があります.どのような結果が得られるか,今後が楽しみです.             

[木村保夫]

[2006年5月23日]

2005/03/14(月)千葉県 真間川

[2006/06/02]
181114_009.jpg
ヨシ群落の生育状況.
 
 
181114_010.jpg
ヨシ群落によって複雑な水際が創出され
ました.こうした場所は水生生物にとっ
て貴重な生息場所となります.
181114_011.jpg
ヨシ群落によって潤のある水辺空間が形
成されました.
 


 昨年(2005年)と比較すると,今年のヨシはずいぶん大きくなりました.草丈はおよそ2mと,昨年の1.5~2.0倍程度になっています.2004年6月24日の写真と比較してみてください.もうこれで一安心と行ったところでしょう.そうすると,次にヨシ群落のもつ機能や景観が気になるようになってきますね.ヨシ群落によって創出された複雑な水際にはきっと様々な水生生物の生息空間となるでしょう.もちろん,水質浄化の機能も併せ持っていると言えます.また景観的には写真からも分かるように従来コンクリート張りであどちらかというと固い景観でしたが,ヨシ群落の成長とともに柔らかい緑色の潤いのある景観が形成されつつあります.これからが楽しみですね.生き物調査もやってみたいですね.

[木村保夫].

続きを読む

2005/01/25(火)千葉県 小野川

[2005/08/02]
181119_008.jpg
良く繁っています
181119_004.jpg
マコモ


 半年ぶりに現場に行ってみました.現場に行くときはいつも受験の結果発表の様にドキドキするものです.現場に行ってみると,青々とマコモが成長(しすぎるぐらい)していました.きっと,栄養塩が豊富にあるのでしょう.写真撮影をしていると,近くの橋から中学生の男の子と女の子が数名,こちらの方を指さしながら何やら話していました.そう言えば,植栽会をしたのは小学校6年生だったので,もしかしたらこのマコモを植栽した時の彼らかもしれません(私のことを怪しいおじさんであると話していたのかも(笑)). これまで,単調であった河川にちょっとした変化ができたので様々な生き物が定着していまいた.メダカやボラの子供,そしてナマズにウシガエルのオタマジャクシ.結構子供たちが遊びに来るようになったとのことでした.

[木村保夫]

続きを読む

2004/06/01(火)千葉県 黒部川

181120_003.jpg
  
181120_004.jpg
  

[背景とその課題]
 黒部川は利根川の下流に位置する支流で,その水は飲料水や農業用水に使用されています.黒部川は低地に位置しているため,流速が遅く,水質汚濁が問題と なっていました.黒部川は両岸が鋼矢板護岸であるため,その当時は水際に水生植物群落はほとんど存在していませんでした.そこで,黒部川では水生植物群落 による水質浄化が検討されました.課題として,鋼矢板護岸の水際に水生植物群落を植栽するための立地を創出すること,そして効果的に水生植物群落を成立さ せることでした(写真1).

続きを読む

2003/07/10(木)千葉県 坂川

[2008/07/26]
181120_019.jpg
ソウギョ発見!
 
181120_020.jpg
未植栽区間では相変わらずギシギシなど
の荒地植物が繁茂していました.
181120_021.jpg
ヨシ植栽区間では荒地植物の侵入は
少ないようです.
181120_022.jpg
定点写真です
 
181120_023.jpg
スケッチをしているご婦人が居ました
 
181120_024.jpg
植生ロールに既存マコモを
植栽した場所です


 久々に坂川に行って参りました(5/27).整備直後に爆発的に増えたオオカナダモですが,そういえば最近かなり少なくなりました.その代わりにセキショウモが徐々に増えてきます.新しい土地が形成されると一気に増殖する外来種の増殖パターンなのかなぁとも思いました.川を除くと巨大なソウギョがのんびりと泳いでいるのが目にとまりました.あまり人見知りしない様なので,しばらく観察しているとオオカナダモをむしゃむしゃと食べてるところを見ることができました.ソウギョにも好き嫌いがあるのかもしれませんが,セキショウモよりもオオカナダモを好んで食べているようです.オオカナダモが減少した理由の一つにソウギョの存在があるのかもしれません.何かが変われば何かもかわるなど,生態系は非常に複雑なもので,どれか原因を特定することは極めて困難ですね.

[木村保夫]

続きを読む