2003/03/01(土)岐阜県 清水川 ~都市河川の自然再生~

181214_034.jpg
自然再生工事後の清水川.片岸のみ施工が完了した状態.2003年5月


近年,様々な河川で自然再生事業 が行われるようになってきました.従来行われてきた,多自然型川づくりと何が異なるでしょうか?国土交通省河川局河川環境課発行のパンフレットによれば, 『自然再生事業は河川環境の保全を目的とし,流域の視点から「川のシステム」を再自然化する河川事業です.』とあります.具体的には,堰の運用改善による 水位変動の回復やダムの土砂バイパスにより河床を再生させるなどの取り組みがなされています.すなわち,河川のダイナミクスを修復することが自然再生事業 において重要な位置を占めていると言うことなのでしょう.今思えば,従来の多自然型川づくりでは,”河川”という”動的”な環境に対し,比較的”静的”な 取り組みを行っていたように感じます.

続きを読む

1998/03/11(水)岐阜県 勝賀大池 ~ため池における植生護岸の活用~

181219_008.jpg
設置後1.5年の状況.水際に水生植物群落が形成された.
181219_009.jpg
水際にベストマンロール(植生ロール),
その背後にベストマンパレット
(植物種:ヨシ,マコモ,フトイ)を設置.
1998年3月11日.






ため池の護岸には様々な方法が考えられます.植生護岸は単なる修景緑化ではなく,水生植物を繁茂させることにより,波浪による湖岸の浸食を防止します.植生護岸の良い点は,波浪を反射させず,吸収させることです.そのため反射波による対岸の浸食を防止します.また,写真からも明らかなように,植生護岸を形成すれば,多くの生物の生息環境として機能します.さらに,ある程度は水質の浄化も期待できるでしょう.

続きを読む

1996/02/29(木)岐阜県 大安寺川 ~子供たちのあそび場として小川の再生~

大安寺川(daianjigawa)は各務原市鵜沼町に端を発し、木曽川合流点に至る延長2.3Kmの一級河川である。大安寺川では当初、低々水路の護岸として詰杭工が行われてきたが、水域と陸域の連続性が失われてしまう傾向にあったことや、水量に対する低々水路幅が広かったため水深が浅くなってしまったことなど、生態的な問題が生じてしまった。さらに、春から夏にかけて農業用水の取水を行うため、この時期には一時的に水無し川となってしまうこともあった。そこで、多自然型川づくりを行うにあたっては、次のことを中心に製品の種類とその組み合わせ、設置方法、導入植物種等の検討を行った。


181219_015.jpg
製品設置前の大安寺川の状況(1996年2月29日)
河川の延長も短く流域面積も小さいため、常時流量は少ない。しかし上流域で宅地開発が進み一時的な流出量は増大し、都市型の河川になりつつある。


181219_016.jpg
ベストマンシステム設置直後の状況(1996年9月24日)
詰杭の天端高が高く水域と陸域とを分断していたため、杭頭を切断して連続性を確保した。
また、春から夏にかけて生物が生息できるだけの水深を確保するためにベストマンロール(植生ロール)を設置することにより低々水路の幅を狭くした。ベストマンロールにはツルヨシ、ヤマアゼスゲ等を植裁した。

続きを読む