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東京都 井の頭自然文化園水生物館 ~井の頭池からのアオコの侵入を防止する~

 井の頭自然文化園の水生物館には地下水を水源とした水路があり,常時きれいなが流れています。この水路は井の頭池につながっていますが,井の頭池では夏 になるとアオコが大量に発生します。水路を流れる水の量はそれほど多くはないので,井の頭池で発生したアオコが水路に侵入し,せっかくのきれいな流れもア オコに染まってしまいます。そうした中,水路に堰をつくってアオコの侵入を防止することはできないだろうか?との依頼を受け,実際につくってみました。も ちろん,出来合のものはありませんから,多くの方の協力を得ながら堰をつくってみました。

まずは水路の幅や水深などの計測を行い,簡単な堰を設計しました。今回の堰は水を溜めることが目的ではないので,アオコが侵入する程度の範囲である程度 周囲から水が流れ出ても大丈夫です。堰の設計をする上で配慮したことは,ちゃんと機能を果たしつつも景観的に目立たないものにすることでした。もちろん設 置した堰がしっかりと水底に固定されている必要もありました。結構,水底に石やら流木やらが沈んでおり,悩ましい課題が多くでました。

堰の設置前の状況。冬場なので,まだアオコの発生はありません。

そこで,特別に作成してもらったH鋼(先端が杭の様にとがっている)を等間隔で打ち込み,打ち込んだ杭の周囲をダブルスコップで掘削し,そこにボイド管を ガイドにコンクリートを流し込みました。その後,コンクリートが固まるまで数日待ちました。杭がしっかりと固定された事を確認して,松板の堰をH鋼の溝に 沿って設置してくさびで固定しました。

特別に製作してもらったH鋼。杭の様に打ち込むため先端が加工してあります。
水糸を張ってH鋼を設置しました。このあたりは職人技で,作業して頂いた職人さんはとても腕が良かったので助かりました。
設置した松板が浮かび上がらないようにくさびで固定しました。
松板をH鋼にくさびで固定した状況。しばらくすると松板が水を吸って浮力は小さくなります。
完成したアオコの侵入防止堰。

作業を行ったのは冬であったため,その後しばらくは見に行っていませんでした。先日,現地を訪れる機会があったため様子を見てみると,なかなかうまいい具 合にアオコの侵入抑制されていることが分かりました。井の頭池ではブラックバスやブルーギルなど,問題ありの魚が沢山生息しています。堰をつくったこと で,これらの魚類が水路に侵入しにくくなったかもしません。いずれにせよ,堰がうまく機能してホッとすることができました。

井の頭池側(写真手前)のアオコが堰によって水路に侵入しないようになった。

[2012/7/20] 木村保夫

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