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ホーム > 事例紹介 > 兵庫県 加古川護岸法面緑化事業
加古川の中流域にあたるここ兵庫県西脇地域は平成16年の台風23号により甚大な被害がもたらされた地域で、同年中に河川激甚災害対策特別緊急事業に指定され、平成17年から継続して河床掘削や堤防強化及び嵩上工事が進行中です。 堤防法面は図らずも工事後瞬く間に帰化植物やツル性植物に覆われてしまうといったケースが珍しくありませんが、ここ加古川の堤防法面でもそのような状況が至るところで見られます。 そんな中、堤体工事が竣工済みの一部区間においてチガヤを主体とした在来草本群落の整備への取組みが始まっています。そこで今回は2008年3月に施工したばかりのチガヤマットにスポットをあてて現場のご紹介させていただきます。
[2008/01/28チガヤマット施工前の状況]
チガヤマットの施工対象エリアでは セイタカアワダチソウやヒメムカシヨモギ等高茎の帰化植物が既に生育していましたが、表層土を剥ぎ取る事無く地上部の刈取りのみ実施し(但し極めて巨大な 個体については現地調査時に抜根)、それらの根系はほとんど地中に残したままチガヤマットの施工にのぞみました。
既存植生の地上部刈取りと軽い整地を行なった後、張り芝と同じ要領でブロックの枠内にチガヤマットを敷設、目串打ち・目土掛けを施して施工は完了です。写真の通りチガヤマットの裏面は既にチガヤの地下茎が横走しています。
[2008/04/08施工約1ヶ月後の状況]
約1ヶ月が経過し、チガヤマットか らは無数の新芽が展開し始めました。マット裏面の根茎も既に地中への伸長を開始しています。そしてマットの脇及び護岸ブロックの間隙からはチガヤに負けて なるものかとセイタカアワダチソウやヨモギ・シロツメクサ等の植物も顔を出してきました。ただしチガヤマットを貫通してそれらの植物が伸長していたり、 マット自体が持ち上げられて浮き上がっているというる状況はほとんど見られません。
チガヤの成長と併せてマット脇やブロック間 隙において前に掲げた雑草の伸長も結構目立ってきました。現場条件にもよりますがチガヤ群落の維持管理においては基本的に6月と10月の2回/年の刈取り が適当とされています。よって施工当年度ではありますが、ブロック間隙やチガヤマット脇からの他種伸長や法肩部からニョキニョキと伸びてきたクズの勢いを 止めるという狙いも含め、地上部の一斉刈取りを実施する事にしました。もうこの時点では「チガヤマットのその後」というよりも「この現場のチガヤ群落をど う維持していくか」という状況に突入しています。 ちなみにこの時点でチガヤマット施工エリア内で目立って見られた植物は多い順にあげると セイタカアワダチソウ・シロツメクサ・ヨモギ・クズ・ヒメジョオンetc・・・
上写真はルートボールミニ・チガヤを植栽したエリアの状況です。苗自体はしっかりと活着してはいますが、チガヤマットを 敷設したエリアと比較すると、明らかに他種の伸長が目立って見られます。当現場のように施工前の段階で既に他の植生が成立している(根茎が残っている土壌 を使用する)ような条件下で表層土の撤去(入替え)を行なわずにチガヤ群落の整備を狙う場合はチガヤマット工法を推奨します。 参考事例: 大阪府 羽鷹池公園 (表層土の撤去→客土投入→ルートボールミニ・チガヤの植栽)
上写真は張芝工が施されたエリアの状況で す。写真の通り現在では既に帰化植物を中心とした高茎雑草に覆われてしまっています。元々土中に根茎が残っていた事が影響している事は間違いありません が、増水時の種子漂着や周辺からの種子の飛来を受けやすい河川堤防においては特に帰化植物群落が成立してしまう危険性が高いと言えます。張芝工ではよほど 高頻度の刈取管理をしない限りこれらの侵入に対抗する事はやはり難しいようです。
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