ホーム ブログ ミソハギの特殊な仕組(二次通気組織)

ミソハギの特殊な仕組(二次通気組織)
Notice: Use of undefined constant Y年n月j日 - assumed 'Y年n月j日' in /usr/home/aa133xbzhi/html/wp-content/themes/weblog/loop-single.php on line 22
2014年9月24日

s-ミソハギ_014_020725_愛知県東海市初夏から初秋(6-9月頃)にかけて、鮮やかな赤紫色の花をつけるミソハギ。花の少ないこの時期に、畑や湿潤地で、一際目立って見かけます。ミソハギは田圃の畔や畑でよく植え付けられ、お盆にお供えする花(盆花)として利用されています。ミソハギがこのような湿潤な場所から畑までの幅広い環境に生育できる、その仕組みとはどういうものでしょうか。

通常、水生植物の茎や根には通気組織が発達し、これを通じて酸素を地下部(根など)の組織に供給します(一次通気組織)。そうすることに
より、湛水条件(低酸素条件)下でも生育できる仕組みとなっています。

一方、陸生植物はこの通気組織の発達が低く、湛水条件下では根腐れが起こり育つことが出来ません。ミソハギの場合は湿生植物ですが、水深15cm程度から陸上の適湿な環境まで生育することができます。いわば、水陸両用な植物と言えます。ミソハギは陸上に生育している場合は一次通気組織で酸素を地下部に供給していますが、水生植物に比べて通気組織の発達が弱いため、湛水条件下では地下部が酸素不足になります。それを補うため、綿のような(スポンジ状)二次通気組織を発達させます(写真を参照ください)。

s-CIMG5401二次通気組織とはコルク形成層から二次的に形成される通気組織です。この組織は直接、水と接するため、組織表面は強い撥水性があり、組織内に水が浸透しないような仕組となっており、通気機関として機能しています。ミソハギが畑から湛水条件下までの幅広い環境に生育できるのは、この二次通気組織を発達させることにより適応しているためです。

植生を創出する場合、その環境に適応した植物を導入します。
水域に植生を導入する場合は増水があったり、水位変化があったりと様々な変動がありますので、これに対応できなければ植物は定着できません。ミソハギの場合は水位の変化が小さい水域(例えば、ビオトープや多自然水路など)の水際から適湿な陸上までは導入可能ですが、一時的に灌水するような調整池にも導入可能です。

水域の植物でミソハギのようなきれいな花を咲かせる植物は少ないですので、うまく利用するとより豊かな景観を醸し出すことができると思います。

【謝辞】二次通気組織に関しては名古屋大学の山内さん(中園研究室所属)から情報を提供頂きました。ありがとうございました。
【参考文献】島村 聡,望月俊宏 2005. 二次通気組織の形成と植物の耐湿性. 根の研究(Root Research)14(4):149-155

(2014.9.22 山口 勉)


カテゴリ:コラム, 在来種による緑化



Copyright ©2013 ESPEC MIC Corp. All rights reserved.