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夏の多雨とアレチウリの繁茂
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2014年9月26日

アレチウリ(Sicyos angulatus)は北米原産の1年生つる植物で、河川敷などに繁茂し、在来植物を被圧・衰退させ、周辺の農耕地に入り込むなどの被害をもたらす恐れがあることから、特定外来生物に指定されています。

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開花中のアレチウリ 

 

私達の業務の中でもアレチウリを始め、外来種対策を講じる機会があり、それ以降、アレチウリについても関心を持つようになりました。

河川でアレチウリを抑制しようとした場合、最も厄介さを感じるのは、
1.水流による種子の拡散
2.初夏~秋までの成長の速さ
3.繁茂程度の年較差
などの点です。

河川で繁茂するアレチウリは、洪水時に種子が流された場合、下流の漂着した場所で発芽し、繁茂する可能性があります。上流に種子供給源がある場合、下流域の種子が漂着する可能性のある場所は、アレチウリが新たに繁茂する可能性があり、対策箇所が絞りきれない問題があります。

次にアレチウリを除去していると初夏頃までは外見上オギなどの群落となっていたところが、秋には一面アレチウリに置き換わっていることがしばしばあります。アレチウリは6月、7月の雨の多い時期の成長が非常に早く、私達の調べた例では1ヶ月のシュート伸張量が25mというデータがあります。初夏に小さな一株を見落としただけでも、秋には大株に育つ可能性があり、気付いたときは四方にシュートが伸び、容易に引き抜けない状態になってしまいます。

また、年によってアレチウリの目立つ度合いが異なるのも厄介です。雨の少ない暑い夏では成長が鈍いのに対し、雨が多い夏では非常に成長速度が速く、大株が形成されます。発生量が同じであっても、降水の少ない年は余り目立たず、降水の多い年はかなり繁茂しているように見えるのです。

平成26年の夏は非常に雨が多い夏でした。今年のアレチウリは、対策を講じている場所でも大株に成長するものが多く観察されております。今年はアレチウリが分布する河川では非常に旺盛な繁殖が確認されているのではないでしょうか。このまま冬を迎えると、アレチウリの種子が大量に散布されることになるでしょう。

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埼玉県鴻巣市 荒川 一面に繁茂するアレチウリ

 

この雨の多かった夏は、生き物たちの力関係を少し変えるきっかけになるかもしれません。

[吉野知明]

 


カテゴリ:在来種による緑化



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