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今月のパリコレ ~究極のランダム植栽をやってみた~
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2010年5月28日

ランダム植栽を知っているかい?
いやいや,そうじゃなくて,本当にランダムなんだ.
だいたい人の手でランダム植栽をすると実際にはランダムになんかならない.どこかで気持ちがはいり,気がつくと均一植栽になっている.そりゃ,人のやることだから仕方がない.
もっとも容易な方法は手に持った石をパッと放り投げること.石が落ちた場所に植物を植栽すれば多少ランダムになる.でもやっぱり人のやることだからね.2回めに放り投げるときはちょっと手加減したりして....で,結局,ランダム風な均一植栽となる.
む~…もっといいやり方はないだろうか?
ならば,コンピューターで発生させた乱数をそれぞれxの値とyの値にセットし,それをx-y座標にプロットしたらどうだろう.そういうことでランダム植栽用のコンピュータープログラムを作ってみた.乱数は現時点で最強と言われているメルセンヌ・ツイスターで発生させる.これでオッケー
いや,しかしですね,実際の植物は皆が皆ランダムに分布しているわけではないですね.地下茎で増える植物の場合,パッチはランダムに分布していたとしてもパッチを構成する個々の植物は全体から見ると集中分布となる.それで,集中分布の中身をみれば,個々の植物はランダムに….
今日の圃場_100528_01
コンピューターでランダム分布を描いてみた.でも,ちょっと物足りないような.
む~…..(ここから長考にはいります)…..おぉ,そうだ!
xの値とyの値にそれぞれ乱数をセットしてx-y座標に任意の一点をとり,そこを中心にして確率分布のプロットを描けば,かなり近いものになりそうだぞ.分散の大きさを変えてやればパッチの粗密を調整できるだろう.
今日の圃場_100528_02
x-y座標の任意の点(複数)を中心に確率分布を描いたパッチ.何となく,まぁ,いい感じじゃないかな.
この分布パターンをそれぞれの植物の生態的特性を勘案してあてはめて,これらをレイヤーとして重ねれば,…..(コンピューター計算中)…..おお,なんとなくそれっぽくなった様な気がするぞ.しかし,これが本当に無作為といえば……まぁ,いいか.
今日の圃場_100528_03
植物の生態的特性に考慮した様々なランダム分布を重ね合わせてみた.
さて,机上論が終わったら,これを実際に適用してみよう.今回は,東京農業大学の根本先生の研究室が行っている在来植物による都市緑化の取り組みに適用していただきました.
まず,植栽範囲に図面と同様,グリッド(50cm間隔)を設置し,それぞれの植物種に対応した配植図を研究室のみなさんに手渡し,それぞれの植物を植栽していただきました.
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東京農業大学の根本先生と研究室の皆さんによる植栽風景.根本先生のプロジェクトにこの植栽方法を適用していただきました.地図を手渡しているのは空石積職人の昼間さん(いつもすいません.)
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植え込みにノビルを植栽することは滅多にないでしょうね.
いかがでしょう.思いの外自然な植栽となったようですね.でも,何ででしょう.逆に言えば,人間による植栽はやはり何らかのパターンがあるということなんでしょうね.デザインというものがこうした人間の認識パターンに訴えるものであるのであれば,この無作為の手法は対極に位置するものかもしれません.ま,デザインについてはよく分かりませんけれど.ただ,あれだけ緑があるのに,都市の植え込みの緑は自然として認識できないですね(緑としても認識できていない場合もある).そういえば,これらの植え込みには季節感がないですね.ある日,全部植え替えられたりしていますからね.これはこれで都市においては必要な維持管理ですね.そうすると今回の在来植物を用いた植え込みはどうなっていくのでしょう?何かわくわくしてきますね?
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ランダム植栽を実際に適用された事例.東京農業大学の根本先生による在来植生による都市緑化の実験プロジェクト.
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植栽直後は裸地が多くなりますが,こうした所にセイタカアワダチソウやネズミムギなどの裸地雑草が侵入しますね.今回は除草などの管理が行われるので大丈夫ですが,広い野外ではこうした裸地の処理が今後の技術的課題でしょう.
[2010/5/14] 木村保夫


カテゴリ:在来種による緑化



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