ホーム ブログ 今月のパリコレ ~チガヤマット(混植タイプ)~

今月のパリコレ ~チガヤマット(混植タイプ)~
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2010年6月2日

~新製品予告~
 法面緑化植物としてのチガヤ(Imperata cylindrica)の優れた特性の一つとして,多様な在来植物が成育することができるという点が上げられる.
 河川堤防は水害から人命や財産を守るための人工構造物ではあるが,定期的な草刈りが行われ,半自然の草地が維持されている.今日ではネズミムギなどの牧草に覆われている堤防も多いが,在来の植物群落維持されている堤防もある.こうした在来種により構成された植生は,”貴重”と呼ばれるような種が含まれていなくとも,重要な植生には違いない.こうした植生は一度破壊されてしまうと,その後は外来種を中心とした植生が形成される場合が多く,元の状態に戻すことは困難である.環境エンジニアリング(Bio-Engineering)的に表現すれば,再現頻度が低い状況にあるといえる.しかし,なぜ再現頻度が低いのだろうか?
 現在,我々はチガヤマットをベースにした在来植生による混植マットの開発を行っている.なぜマットである必要があるのか?
裸地に在来種によるポット苗を植栽しても,結局,隙間に外来種が侵入しうまく行かないことが多い.細かいことはよく分からない.しかし,あらかじめマット上に在来植生による小さな仕組(システム)を構築してしまうことが可能であれば,外来種の発芽を抑制し(問題となっているほとんどの外来種が攪乱依存種であることを鑑みれば),効果的に在来植生を創出出来るのではないかと考えている.
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チガヤマット(混植タイプ).チガヤマットをベースに同所的に成育するであろう在来種を植栽したもの.写真は試作品.
今日の圃場_100602_01
チガヤとともにワレモコウやヤブカンゾウなどを植栽してみた.実際にはこれほど密に分布している訳ではない.植物の定着や成育を見るための試作品として作成されたもの.
 あくまでも仮説であるが,遷移の初期の段階に問題があるのであれば,植生付のマットを設置して遷移の初期段階をすっ飛ばしてしまおうということである.まだ実際にこの方法を試みたことはないので,その効果についての検証を行うことは出来ていない.しかし,チガヤマットの設置場所では他と比べて雑草の侵入がかなり少ない状況が確認されている.もしかしたら,ある現場ではうまく行くかもしれない.しかし,別の現場ではうまく行かないかもしれない.生態系や生物多様性が何かということをもう一度思い起こしてみれば,それほど単純な話ではないであろう.ポットであろうがマットであろうが,所詮,材料の一つでしかない.これさえ使えば生物が多様になるなどという魔法の材料は存在しない.しかし,手を動かさなければ何も見つけられないことも事実だろう.[2010/5/26] 木村保夫


カテゴリ:在来種による緑化



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