中小河川でのアレチウリ制御作戦
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2012年2月10日
明治以降、日本に新たに侵入定着した植物は、図鑑に掲載される種で約600種、
現在も増え続け、現在では1000種を超えるとも言われています。
その中でも日本の生態系に悪影響を及ぼす植物は平成17年に施行された外来生物法により、
特定外来生物として指定されています。
外来生物の問題は、侵入初期に対策をとれば蔓延を防ぐことができるといわれますが、
多くの場合、それらの存在に気づかずに見過ごされているか、
なすすべも無く放置されているのではないでしょうか。
つる性植物の繁茂により、荒れた景色
アレチウリは特定外来生物のひとつで、
特に河川敷を覆うように繁茂することが、問題視される植物です。
郊外を流れる中小河川沿いの樹林や水辺は、街の貴重な緑陰であり、
生き物の移動・生活空間として「緑の回廊」
あるいは「エコロジカル・コリドー」として重要視される空間です。
アレチウリはつる植物で、巻きひげを伸ばし、樹木にも絡みつきます。
アレチウリが河川で繁茂すると、水際の植物だけでなく、
隣接する樹林まで覆いかぶさり、年々繰り返されることで次第に
既存の河川植生や樹林が衰退する被害が生じます。
アレチウリが樹木に覆いかぶさると、樹木の成長を阻害する
我々が出合った現場は、アレチウリが繁茂し始めて、
数年は経過したと思われるある地方の二級河川でした。
対策を立案するにあたり、我々の前に提示された課題は、
「どのくらいの期間」、「何をすれば」、もっとも「効果」があるか。
ということでした。
図鑑や文献にはアレチウリについての情報が掲載されていますが、
欲しい情報が記述されているとは限りません。
我々は、早速現場に張り付き、現場でのアレチウリの生活史、
刻々と変化する河川植生と発芽の関係、成長スピード、
流域でのアレチウリの分布、
刈り取りに対するアレチウリのレスポンスなどのモニタリングを行い、
2年間をかけて、ひとつの除草モデルを構築しました。
生態調査に基づいた除草モデルは
アレチウリの種子を持ち出すことなく、
5年程度のスパンでアレチウリの発生量を減少させ、
通常の堤防の刈り取り管理+αで実施できるものとなりました。
このモデルに従って除草を行い、2年が経過しました。
アレチウリは、流下種子や埋土種子が残るため
堆積物の多い場所では、アレチウリの発生がみられますが、
以前のような大繁茂はなくなり、
被圧されていた樹林も枝葉が回復してきました。
生態調査に裏づけられるからこそ、
シンプルな対策が講じることができるのだと思います。
河川を中心に、水生植物から樹林が形成されている様子
[吉野知明]
カテゴリ:在来種による緑化