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今月のパリコレ ~沈水植物マット(生分解基盤)~
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2010年6月25日

沈水植物の修復に取り組んでかれこれ10年近くなる.
エスペックミックはベストマンシステムの様な資材の販売だけではなく,問題解決(ソリューション)も主要な事業としている.そうした一環で,湖沼における沈水植物群落の修復についても行ってきている.
そのため公に宣伝していない製品(試作品)が数多くある.沈水植物マットもその中の一つで,以前紹介した千葉県の小山親水水路では合成樹脂基盤の沈水植物マットが使用されている.厚さ3cmの合成樹脂基盤はコンクリート三面張り水路で沈水植物を生育させる上でかなり有効に機能した.
今日の圃場_100624_01
合成樹脂基盤の沈水植物マット.コンクリート水路など,沈水植物の生育基盤が無いような場所に適用することができる(千葉県の小山親水水路の事例).
しかし,実際には生分解性基盤の要望の方が多い.現在,生分解素材による沈水植物マットの開発を行っており,既に試作品はできている.あとはいかに現地の植物を速やかにマット化するかの技術が課題となっている.…..ところで,本当にマットにする必要はあるのだろうか?
今日の圃場_100624_02
生分解性基盤の沈水植物マット(試作品).何か,設置する前に分解してしまいそうな心細い感じがする…..もう少し改良の余地がありそうだ.
マットにしなければならない理由は,それがマットであることにより何らかの利点が生じるからだ.マット状の抽水植物苗であるベストマンパレットはそれがマット状であることで大きな効果が得られている.では,沈水植物の場合はどうであろう.マットにすると水中では取り扱いが困難になる.では,マットでなかったらどうであろう?ポット苗だろうか.それも良い考えである.しかしどうやって水底に固定するのだろうか?これまた課題である.マットのメリットは水中で”面的な固定”が可能であることだ(逆にめくれ上がりなどの問題も生じる).であるとするならば,水中での取り扱いが困難とならないサイズが重要になる.
しかし,沈水植物群落の修復はこうした沈水植物マットがあればいいのだろうか?
沈水植物マットは材料であり,それ以上でもそれ以下でもない.即ち,沈水植物マットによる沈水植物の導入は方法論の一つでしかない.本当に難しいのは沈水植物群落の修復には方法論以前の課題があるということだ.実際には沈水植物マットを設置したからといって必ずしも成功するわけではない.透明度の問題や様々な生物による食害の問題など,その原因は単純ではない.その上,原因は明らかとなってもその対策を講じることができない場合もかなり多い.例えば食害の問題に対し,沈水植物の周囲に食害防止ネットを張り巡らしても僅かな期間で問題の生物が侵入し,やはり沈水植物は消滅してしまう.1年目は良好な成育が見られた保全池でも2年目には消滅してしましい,その後再生しない.
こうした状況に対し,我々はエンジニアリング思考の切り口で取り組んでいる.それは必ずしも自然再生と呼べるものではないかもしれないが,こうした切り口から初めて認識できることもある.まだまだ課題は山積みである.しかし,着実に成果を生み出しつつある(と思う…多分).
[2010/06/01] 木村保夫


カテゴリ:在来種による緑化



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