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今日のパリコレ チガヤマットの2つの方向性(3)
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2012年8月27日

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今日のパリコレ チガヤマットの2つの方向性(3)
 方向性の2つ目は,チガヤマットに高い流速耐性の機能を持たせた(仮称)流速耐性チガヤマットです。
 従来のチガヤマットは紫外線で分解するポリプロピレンネットとヤシ繊維からなる基盤にチガヤが植栽育成されたものでした。この場合,初期の法面浸食に対しては十分に効果的ではあるものの,流速に対してはチガヤという植生にのみ流速耐性を依存することになります。
 芝とチガヤを用いた服部ら(1995)の実験では,チガヤの場合地上部があっても無くても,流速3.5m程度までは浸食深の増加量は大きく変化しないことが確認されており,堤体土だけの場合と比較すると2桁程度浸食速度が小さく,耐浸食性があることが確認されているとのことでした。これらの特性は根毛量に依存するようで,耐浸食性が最も高いのは芝で,次いでチガヤなどのイネ科草本とのことでした。
 イネ科草本にはチガヤのほかにネズミホソムギやオニウシノケグサをはじめとする外来牧草などもありますが,いずれも平均根毛量はほぼ同じ程度であるが,チガヤの根毛量は外来牧草のそれと比較すると,表層から3cmより深い部分に半分以上が存在しており,外来牧草よりも高い治水機能が期待できるとされているようです(佐々木ら,2000)。
 しかし,多くのイネ科外来牧草と違い,チガヤは多年性草本であり一年を通じて生きた根が土中に存在し,複数回の刈り取りに強いなどの特性があります。また,生態系への配慮の観点からも,外来牧草ではなくチガヤが好ましい選択といえるでしょう。
 こうしたチガヤの特性に加え,(仮称)流速耐性チガヤマットには,従来の植生基盤にジオグリッドが組み合わされることになります。このチガヤとジオグリッドとの組み合わせによって土壌の浸食を従来よりも効果的に防ぐことができるようになり,より多くの現場で在来種による法面の保護と緑化ができるようになると期待しています。
 (仮称)流速耐性チガヤマットは平成25年度の製品化に向けて,現時,開発を行っている最中です。製品開発の進捗については要所要所で紹介することができると思いますが,製品の完成がとても楽しみです。
参考文献
佐々木寧,戸谷英雄,石橋祥宏,伊坂充,平田真二 (2000) 7. 堤防植生の特性と堤防植生管理計画.河川環境総合研究所報告 (6) 1-37.
服部敦,平舘治,藤田光一,宇多高明,関口利昭,宮下光泰 (1995) 堤防の耐侵食性の評価方法に関する研究. 河道の水理と河川環境シンポジウム論文集 (2) 73-80.
[2012/08/27] 木村保夫


カテゴリ:植物生産システム



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