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兵庫県 加古川流域沢部地区農業用ため池改修事業 ~ヨシ群落整備による護岸・水際の浸食防止~

 

  日本有数のため池密集地として知られる兵庫県。その兵庫県中央部のやや南、加古川流域に位置する加東市沢部(旧加東郡社町)の農業用ため池で平成20年3月から水際のヨシ群落整備による護岸補修の取組みが行なわれています。特徴的なのは、「護岸の補修・補強」が当事業の主目的で、ヨシ群落の整備はあくまでもその「手段」として採用されているという事です。    絶えず流水条件にさらされている河川でなく、止水域であるため池においても風による波浪や水位変動等の影響で水際部の土壌浸食は発生します。そこで、池底から満水位(FWL)まではコンクリートブロックで保護するというのがごく一般的なため池の護岸工法ですが、池の管理・補修に携わられている地元の方が、「密に育ったヨシの葉茎は消波の役割を備え、ヨシの強健な根系は高い土壌緊縛能力を有しているので、良好なヨシ群落を整備すれば水際部の護岸浸食は十分に防ぐ事が出来る」と強く訴え、沢部地域活動協議会組織の下で「ヨシ群落整備による護岸補修・補強」の取組みが始まりました。€

施工前の状況. 施工前の状況. 浸食が進行している部分.
平成21年3月6日撮影 平成21年3月6日撮影 平成21年3月6日撮影
  まず一部古くなった板柵土留工を補修した後、近隣に生えているヨシの根茎を掘り取って、水際線に沿って移植するという試みが行なわれましたが、群落形成までに多大な時間を要する事、移植後どうしても生育にばらつきが出てしまう事等の理由から、早期にヨシ群落を成立させる工法として板柵の内側にヨシの植栽済みベストマンロールをすっぽり埋め込むという施工が平成21年3月にスタートしました。     自然再生という事業背景の下で、ヨシ群落を整備・再生する事業は数多くありますが、護岸補修・補強対策としてヨシ群落の成立を図る事例は決して多くはありません。しかし事実、コンクリート等に拠らず、ヨシを始めとした抽水植物や湿生植物群落により水際の護岸が保たれている状況はため池・河川・湖沼等、様々なフィールドで目にする事が出来ます。     もし機会があればスコップを持って水辺に出かけ、水際で勢いよく生えるヨシ等の水生植物群落を見かけたら、その群落の足下を少し掘ってみてください。土中に張り巡らされた根系の多さと逞しさに、きっとびっくりされると思います。
植栽済みベストマンロール到着! 施工中の状況. 施工完了時の状況.

平成21年3月20日撮影

平成21年3月20日撮影 平成21年3月20日撮影
施工完了1ヶ月経過. 無数の新芽が勢いよく展開. 水際線に沿って帯状に生育.

平成21年4月21日撮影

平成21年4月21日撮影 平成21年4月21日撮影
施工完了1年経過. 消波構造物の如く生え揃ったヨシ. 密度の高いヨシ帯が形成.

平成21年3月20日撮影

平成22年5月26日撮影 平成22年5月26日撮影

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