2024/04/04(木)林道法面におけるシカ食害対策の緑化(埼玉県内の事例)

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シカ(鹿)生息地における現状と課題

 これまで、神奈川県内のシカ(鹿)食害地における緑化事例をご紹介してきましたが、近隣の埼玉県でも同様にシカの食害により植生が衰退している状況が確認されています。植生が衰退して裸地化した箇所は、降雨によって土壌浸食が起こっており、自生する樹木の根が露出している箇所が見受けられます。このような場所では、林道への倒木や土砂崩れ等の災害が発生する可能性があり、これらを事前に防ぐためにもシカ(鹿)生息地において、まずは法面等を早期に緑化し、土壌浸食を防止させる必要があります。
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シカ食害により衰退した植生(埼玉県内)
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土壌浸食が起こり樹木の根が露出した状況

シカ不嗜好性植物(国内産在来種)を利用した法面緑化

 このような状況にある埼玉県内の林道法面において、シカの好まない植物(シカ不嗜好性植物)を用いて緑化を試みました。国内で生産および採集したシカ不嗜好性植物の種子(国内産在来種種子)のみを利用して、種子吹付工や客土吹付工を実施しました。
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施工前(2020年12月8日撮影)
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施工後8ヶ月(2021年8月26日撮影)

 施工後、1年目ではシカ(鹿)の食害や立ち入りが確認されたものの、一年草や多年草のシカ不嗜好性植物が優占し、良好に生育している状況が確認されました。種子吹付工を実施した区画については、樹木の影響で日当たりが悪い状況となっていましたが、日陰条件でも生育するシカ不嗜好性植物によって緑化された状況でした。
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シカ不嗜好性植物の生育状況
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日陰条件で緑化ができている











 使用したシカ不嗜好性植物の種子は、全て国内産在来種種子のため、冬場は種子が発芽しませんが、翌春の5月頃から少しずつ発芽し、夏頃にかけて大きく成長していきます。シカの生息密度や環境条件(日当たりや水分条件等)によって結果は変わってきますが、シカ生息地においても本施工地のような条件であれば、シカ不嗜好性植物を用いることで早期に法面を緑化することができ、土壌浸食も抑制できることが分かってきました。

シカ不嗜好性植物の種子を配合した種子吹付工、客土吹付工

 種子あるいは植生基材とともに種子を吹き付けることで緑化を行うことができます。種子吹付工や客土吹付の利点は、短期間に広い面積を施工することが可能なことと、種子が地面と密着することで高い発芽率を期待することです。エスペックミックは緑化業者と提携することでシカ不嗜好性植物による緑化を行うことができるようになりました。
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種子吹付工や客土吹付工は広い面積にも対応可能である
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シカ不嗜好性植物の種子を配合した種子吹付工


 少しずつではありますが、シカ不嗜好性植物(国内産在来種種子)を用いた施工実績も増えてきています。シカ(鹿)の食害でお困りの方、日陰条件での緑化にお困りの方は是非、弊社までお問合せください

【東京オフィス 東建介】
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