2024/03/20(水)林道法面におけるシカ食害対策の緑化(神奈川県内の事例その2)

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シカ(鹿)生息地における現状と課題

 シカ食害対策の緑化(神奈川県内の事例その1)でご紹介しましたように、神奈川県内のシカ(鹿)生息地では、シカの食害により植生が衰退し裸地化した状況が確認されています。林内に残っている植生としてはアセビやシダ類などが点在しているだけで、裸地化した箇所がシカに踏み荒らされて崩れたり、降雨によって土壌浸食が起こったりしています。さらに、林内は日陰条件であるため、このような場所で生育する植生はかなり限定されてきます。
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裸地化した法面が崩れた状況
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裸地した林内。日当たりは悪く日陰条件である。

シカ不嗜好性植物(国内産在来種)を用いて法面を緑化する

 このような状況にある神奈川県内の山の林道法面において、シカの好まない植物(シカ不嗜好性植物)を用いて緑化を試みています。シカ不嗜好性植物の種子から緑化を試み、用いた種子は日本国内のみで採取もしくは生産した国内産在来種種子のみとしました。また、本現場の林道法面は、日当たりが悪いことが想定されたため、日陰でも生育する植物を用いて法面緑化を試みました。

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施工前(2021年12月22日撮影)
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施工後6ヶ月(2022年6月20日撮影)


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日陰条件でも生育する(2023年5月23日撮影)
 神奈川県内でもシカ(鹿)の生息密度が非常に高い地域のため、施工後、シカ(鹿)の食害が多く確認されましたが、何とかシカ不嗜好性植物の成長を確認することができました。想定していたように日当たりが悪い現場ですが、日陰で生育する植物のおかげで少しずつですが緑化が進んでいます。今後は、多年草が株を少しずつ拡大させていくと想定されます。



在来種で緑化シート(ヤシネット)日陰配合、シカ不嗜好性植物配合

 今回の現場は、シカ食害対策の緑化(神奈川県内の事例その1)で利用した日陰条件で生育する植物でもあるシカ不嗜好性植物の種子を配合した植生シート(在来種で緑化シート)を用いて緑化を試みました。この在来種で緑化シート(ヤシネットタイプ)は、盛土法面の法面保護工として利用することができ、ロール状で納品されるため一般的な植生シートと同様に施工することができます。1梱包は20㎡(10㎡/巻×2巻)です。また、この在来種で緑化シートは生分解性の資材で製造しており、基盤は少しずつ自然にかえるため、山の中での利用にも適しています。
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在来種で緑化シート(日陰配合、シカ不嗜好性植物配合)→ 国内産在来種種子のみを使用しています。
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1梱包は20㎡(10㎡/巻×2巻)
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施工は容易で景観に馴染む


日陰条件で生育するシカ不嗜好性植物(国内産在来種種子)を用いた施工実績も増えてきていますので、シカ(鹿)の食害でお困りの方、日陰の緑化を実施したい方は是非、弊社までお問合せください

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