鍋屋バイテック会社様



企業緑地の改修にあわせた地域性種苗育成の取り組み


さかのぼること約2年前,既存の工場緑地の森づくりに関してご相談を受けました。「約30年前に植えた木々が大きく育ち鬱蒼としてきたため間伐作業を行い,明るく美しい林床の森にしたい。」「敷地内に生育している林床の植物を採集して育成の上,緑地の改修に活用したい。」という事でした。現地では緑地を案内して頂きながら,活用できそうな植物の調査を行いました。事前の調査では,
①在来種であること,②多年生であること,③花や実が楽しめることなどに注目して植物を探索しました。緑地内ではシダ類を始めとした多くの植物が生育していました。

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実際に植物の採集ですが,間伐作業で重機が入る前に掘り取りを終えなければいかず,急いで掘り取り作業に入りました。 剣先スコップを使って根を傷めない様に大きく掘り取りますが,これがなかなかの重労働で根や石が絡みついてなかなか掘り取れません。迫りくる重機…時間との戦いです。まるで平成狸合戦です(笑)
掘り取った植物は根が崩れないよう,ケースに入れて圃場に持ち帰りました。寄せ植えみたいで素敵ですよね。

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持ち帰った植物は圃場で養生作業を行います。株分け後,選別しながらビニールポットに植え付けます。熟練したスタッフの技で次々と株が植わっていきます。

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掘り取った植物は43種類,約6000株になりました。造成された緑地内に多くの植物が生育していたことにとても驚きましたが,掘り取りを行ってから2年が経過した現在も,株分け等の増殖作業を行い,今では約10,000株の植物を栽培しています。
現地に生育していた植物を活用・増殖して緑地の再整備を図ることは大変面白い試みであるとともに、生物多様性の面でも,遺伝子の多様性を攪乱せずに済みます。 掘り取って増殖した植物を活用してどのような緑地が出来上がるのか今後が楽しみです。

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