2003/03/01(土)岐阜県 清水川 ~都市河川の自然再生~

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自然再生工事後の清水川.片岸のみ施工が完了した状態.2003年5月


近年,様々な河川で自然再生事業 が行われるようになってきました.従来行われてきた,多自然型川づくりと何が異なるでしょうか?国土交通省河川局河川環境課発行のパンフレットによれば, 『自然再生事業は河川環境の保全を目的とし,流域の視点から「川のシステム」を再自然化する河川事業です.』とあります.具体的には,堰の運用改善による 水位変動の回復やダムの土砂バイパスにより河床を再生させるなどの取り組みがなされています.すなわち,河川のダイナミクスを修復することが自然再生事業 において重要な位置を占めていると言うことなのでしょう.今思えば,従来の多自然型川づくりでは,”河川”という”動的”な環境に対し,比較的”静的”な 取り組みを行っていたように感じます.


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施工前の状況.2002年5月.


このような中,都市河川においてはどのように河川の自然再生を行って行けばよいのでしょう?

様々な課題がありますが、限られた土地の中で,場合によっては鋼矢板護岸であったり三面張り河川であるったりするかもしれません.また,河川のダイナミクスの修復についても,何をどのよう に修復すればよいのでしょうか?自然再生事業は始まったばかりであり,自然環境にとってあるいは私たちにとって”河川とは何か?”という根本的な問題提起 をしているようにも思います.

さて,岐阜県の清水川でも自然の再生が試みられています.まだ片岸のみが完了した段階ですが,既存コンクリート護岸と比較して景観的に柔らかい印象を受けるものとなりました.施工前の写真と施工後の写真とを見比べてみてください.


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チガヤ植裁直後の状況.
2003年3月
 
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2003年5月の状況.
ベストマンネットの効果により雑草の
発生は低いレベルに収まっている
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2003年7月の状況.
施工からおよそ4ヶ月でチガヤ草原が
形成された


堤防法面には芝ではなくチガヤの植裁が実施されました.法面へのチガヤの植裁はなかなか難しいようですが,清水川ではとてもうまくいきました.ベストマンルートボール(BC06)の植裁を行い,その上に法面の浸食防止と雑草防除を兼ねてベストマンネット(BT170)を設置しました.施工後およそ4ヶ月程度でチガヤ草原が形成されました.チガヤ草原には様々な植物の混生します.季節ごとに様々な植物の花が咲き,初冬にはチガヤは草紅葉となるなど,四季を通じて変化に富んだ景観を形成します.今後が楽しみな河川です.

[2003年3月1日]