2003/07/31(木)大阪府 豊能町水路 ~水路の自然再生の試み~

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豊能町水路施工後4ヶ月後の状況
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一般的な水路の改修事例


水路の改修というと一般的にはU字型一直線の灰色の光景(左写真)が目に浮かんでしまいますが,豊能町の水路では水路としての機能を維持させながらも,できるだけ自然に近いものにすることが検討されてきました.
そうした中,この水路では護岸には多孔質ブロック,護床にはロックロール(STW200;ネットジャカゴ)及びルートボール(BC06 ヤシ繊維基盤ポット苗(φ6cm),植物種:セキショウ)が導入されました.ちなみに当該水路は修景施設ではありません.下の4枚の写真が施工時の流れです.


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ロックロールを設置するために床均しを行います.








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ロックロール(STW200;STW200; ネットジャカゴ)を運搬します.ロックロールは非常に強度の高い円筒形の無結節ポリプロピレンネットを使用しています.そのため,鉄線じゃかごと異なり,礫を入れたまま運搬することが可能です.また,写真から明らかなように,極めてフレキシブル性が高く様々な場所に設置できる特徴があります.








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水路底にロックロールを設置した状況.










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ロックロールの設置後,客土し植物(セキショウ)を植裁下状況.植物はルートボール(BC06;ヤシ繊維基盤ポット苗)を使用しています.基盤がヤシ繊維であ るため,しっかりとロックローに固定することができます.そのため,客土した土壌が流出しても一緒に流されることがありません.
施工から4ヶ月経過した今、流芯部は洗い流され,水路端部には新しい砂礫が堆積し小さな流路が形成されています.自然のダイナミクスは一級河川でも幅50㎝の水路でも起こるものなのですね.


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セキショウに隠れるカエル


ロックロールは根固め材としての使用の他、こうのような川幅の狭い水路においては護床材として活用する事が可能です.河床に追随して柔軟にその形状を変化させるので、複雑且つ多孔質な河床を創出する事が出来ます.
水路をよく見るとたくさんの 生き物が生息していました.カエルがいて水生昆虫が居て・・・それは決して無視してはいけない立派な生態系だと思います.そんな生き物達の生活の舞台とし ての水場を今後も出来る限り守り,復元・創出していくのが私の使命と思い日々走り回っています.[2003/7/31 ]


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2008/8/25
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ロックロールのネット部分


あれからもう5年も経ったのですね。当時の自分を懐かしみながら、山間の道を抜け久しぶりに現場を訪れてみました。水路内で洗掘が起きているような箇所はなく、ロックロールはしっかりと護床材として機能し、植栽したセキショウも立派に育っていました。ロックロールの要であるポリプロピレン製ネットには劣化や破断の症状は全く見られません。
水路脇に寝そべってカメラを構えていると近隣の方が通りがかり、
「あらら、何か落としたの?」
「いえいえ、5年前にこの水路の工事に携わった者です。」
「あら、そぉ。その植物って珍しいの?」
「いえいえ、そんなに珍しくはありませんが、セキショウという大切な植物です。」
「草にもいろいろあるんやねぇ。草は全部、敵やと思ってたわ。ご苦労さん、がんばってね。」
「(少し苦笑・・・)ありがとうございます!がんばります。」


[2003年7月31日]
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