2002/04/01(月)岐阜県 基幹農業排水路における自然の再生 ~寺田川における試み~

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▲ 施工後3ヶ月の状況(2002年8月)


岐阜県関市寺田地内を流れる基幹農業排水路において水路の再自然化を行うための試験が実施されました.


農業排 水路は,水田の排水をよくするために,一般に深く掘り下げられ,且つ,水の流れを阻害しないようにコンクリート2面,あるいは3面張りとなることがほとん どです.以前は素堀の水路が至る所にあり,いわゆる”落とし”と呼ばれ,様々な生き物の生息空間として重要な役割を果たしていました.しかし,社会経済情 勢を背景に農業の効率化が重要な課題となると,それらの素堀の水路は全国からほとんど姿を消してしまいました.

排水路の本来の目的は”利水”であるため,その効率を最大限に発揮するために,あるいは施設の維持管理の労力をできるだけ削減するためには,水路の三面コンクリート化はある面では必要な作業であったのであると思います.

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2000/06/05(月)三重県 船倉幹線排水路 ~水生植物による水質浄化の試み~

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三重県伊勢市を流れる船倉幹線排水路では水質の汚濁がすすみ,エアレーションなどの浄化対策が行われていました.古い護岸の改修にあたり,水際に水生植物を生育させ,水質浄化を行う試みが行われました.
ヨシやマコモなどの水生植物(抽水植物)は,水中から栄養塩を吸収するなどの直接的な水質浄化を期待することも出来ますが,水中から伸長した茎に微生物が 付着して,有機物を無機物に分解したり,流速を弱めて浮遊懸濁物質を沈降させるなどの効果も期待することができます.また,そこに小魚やカニなどの生物が 定着するなど,多様な生物の生息を可能にするなどの効果があります.

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1999/10/08(金)三重県 東員町自然生態ゾーン ~地域種を用いた水辺づくり~

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三重県東員町の自然生態ゾーン整備事業にでは公園内に造園的な水路を創出させるのではなく,あくまでも水辺における多様な自然生態系の創出を目指した川づくりが行われました.


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護岸方法はコンクリートに頼らず石積と植生によるものとし,植物についてもヨシを始め,隣接する戸上川でごく普通に見られるマコモ,ヒメガマ,サンカクイなどの種類が導入されました.左の写真は造成状況(2002年1月9日).

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1993/03/01(月)神奈川県 いたち川 ~あの施工事例は今・・・~

神奈川県いたち川は,日本ではじめてベストマンシステムを設置した河川です.その当時,植生護岸に関する知識も少なく,手探り状態で製品を設置しました.1993年の設置から6年後の状態について確認し,そこに生じた問題点や改善点についてレポートしました.

神 奈川県横浜市を流れるいたち川は,都市河川の川づくりにおいて先進的な取り組みがなされている河川である.多自然型川づくりに思いを巡らせたとき真っ先に 名前のうかぶ河川の一つであり,1993年3月ベストマンシステムが日本で初めて採用された河川でもある.本レポートは設置当時から今日に至るまでに生じ たベストマンシステムに係わる問題点と,再整備後の現在の状況について記したものである.


ベストマンロール設置からの経過

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1993年3月.ロール設置直後の状況.

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